コロナ変異株ついに「ネズミ」も感染した不安 感染する動物種の増加が意味すること
今回の研究結果は、ウイルスがネズミに感染する可能性があることを示しているにすぎないという。捕獲した野生のネズミから新型コロナに感染した個体は今のところ見つかっていないし、ウイルスがヒトからネズミに感染したり、ネズミからヒト、ネズミからネズミに感染したりする能力を持っている様子もない。
「私たちの研究結果によって強まったのは、ウイルスが感染する動物種の範囲を定期的にモニターする必要性だ。新たな変異株が生まれているとなれば、その必要性はなおのこと強まる」と博士。
新型コロナはコウモリから発生し、別の動物が中間宿主となってヒトに感染したと考えられており、科学者はいわゆる「動物の貯蔵庫」にウイルスが再び還流する展開を危惧している。
動物の中で「危険な変異」が加速
新型コロナが別の種に広がると、その動物集団に壊滅的な打撃を与える可能性があるだけではない。危険な変異を遂げて、現在のワクチンでは対応できない変異株がヒトに再感染する恐れがある。
ヒトから新型コロナに感染し、そのウイルスをヒトに感染させる可能性のあることがわかっている動物は、これまでのところミンクだけだ。昨年11月上旬、デンマーク政府はミンクに感染した新型コロナが危険な変異を遂げるのを防ぐため、毛皮採取用に飼育されていたミンク1700万匹の殺処分を命じた。
最近の研究では、ペットのネコとイヌに感染した変異株「B.1.1.7」が、ヒトの感染者と似た心臓障害を引き起こす可能性のあることがわかっている。
新型コロナが感染に成功するには、動物の細胞表面にあるタンパク質と結合して細胞の中に入り込み、細胞のメカニズムを利用して自らを複製しなければならない。感染を阻止しようとする免疫系の初期攻撃をかわす必要もある。