顧客がハマる「熱狂のブランド」を生み出す秘訣 「カルトブランド」という新時代の手法

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ミッションに連動させる形で「代表取締役メッセージ」をブランドウェブサイトに示すことも有効だろうし、スタンスを伝えることを目的とした記事をブランドマネージャーが執筆し、オウンドメディアで公開するのもいいだろう。

ただし、場合によっては、スタンスについてブランドが発信しないことが許されるケースもある。一目でイデオロギーが理解できるプロダクトやデザインが存在する場合だ。

一方で、イデオロギーがあたりさわりのないものであれば、どれだけプロダクトのデザインや機能にこだわったところで、信者を獲得することはできない。イデオロギーに共感することで、顧客は信者となるからだ。

「違い」を出し業界の「異端児」となる

いくらとがったイデオロギーがあったとしても、同じ業界やカテゴリー内にいくつも似たイデオロギーを持つブランドが存在すれば、独自性がない状態となる。

商品やサービスについても同じことがいえよう。高品質の商品やサービスを提供し、顧客満足度が高かったとしても、同じ業界やカテゴリーに似た商品やサービスが存在すれば、独自のポジションを築きにくい。

カルトブランドには、ほかとの「違い」を出すことが強く求められる。二番煎じではいけない。新たに独自のポジションを確立させる必要があるのだ。これは、ブランディングで言うところの「ポジショニング」である。

「違い」と言っても、技術的なイノベーションはなくてもいい。事実、カルトブランドの多くは、それほど新しい技術をプロダクトに応用しているわけではない。ポジショニングを考えることで、違いを出しているだけだ。難しい技術は不要である。

情熱を持って「違い」を突き詰めることで、業界における「異端児」となる。この場合の異端児は、ポジティブな意味に捉えていい。なぜか。

カルトブランドの信者は、「自分らしくありたい」と思う。この思いを掘り下げると、「他人と違っていたい」ということになる。ブランドが業界において異端児扱いされていればいるほど、「このブランドと関わりのある自分は他人と違うのだ」と感じる。

これは「カルトブランドの大いなる矛盾」と称される。ブランドに所属することは、ブランドにぶら下がり依存している状態といえる。しかし、ブランドに所属することで、信者は「自己実現できる」と感じるのである。

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