4月の日米首脳会談、菅首相は何を話すべきか 気候変動問題で米中協力なら日本は置き去りに

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この米中外交トップ会談は、何かと米中対立の構図で捉えられがちである。経済や軍事、科学技術の面で抜き差しならない対立がある。しかし、気候変動問題について、中国側は「利害が一致する」と明言した。このトップ会談で両国は、気候変動に関する共同作業部会の設置で合意したと伝えられている。

その姿勢は、早くも3月23日に現れた。中国とEU(欧州連合)、カナダが主催する気候行動に関する閣僚会合(MOCA)第5回会合が開かれ、アメリカからはジョン・ケリー気候変動担当大統領特使が参加した。

アメリカのパリ協定復帰を歓迎

この会合で、中国で気候変動問題を担当する解振華特使は、アメリカのパリ協定への復帰を歓迎するとともに、アメリカとの協調を模索する方針を示した。ケリー特使は、主要国を含め、できる限り多くの国が2050年までに温室効果ガス排出量のネットゼロを実現するための具体的な戦略を策定すべきだと訴えたという。

ちなみに、日本からは小泉進次郎環境大臣が参加し、菅首相が2020年10月に2050年カーボンニュートラルを宣言したことなどを紹介した。

米中は、温室効果ガスの排出量で世界1位、2位の国である。米中が温室効果ガス排出削減に取り組めば、地球温暖化防止に相当なインパクトがある。

4月22、23日には、バイデン大統領主催で気候変動サミットをオンライン形式で開催することになった。日本を含む先進諸国だけでなく、中国やロシアの首脳も招待している。このサミットでは、産業革命以前と比べて気温上昇を1.5℃に抑えるための主要国の取り組みの促進や、2050年までに温室効果ガス排出量のネットゼロを達成するうえで、各国の役割と解決方法などについて議論することを予定している。

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