シャンシャンに弟妹?上野「新パンダ舎」の底力 4年ぶりとなる子パンダ誕生の期待もかかる

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現在、新パンダ舎で暮らしているのは、リーリーとシンシンの2頭だ。新パンダ舎を含む「パンダのもり」がオープンしたのは2020年9月8日。敷地面積は約6800平方メートルで、敷地内にはジャイアントパンダ舎のほか、レッサーパンダ舎、鳥舎、トイレなどを整備している。

上野動物園は都立施設なので、東京都が発注者だ。都によると、「パンダのもり」の設計・工事費は約22億円に上る。場所は上野動物園の西園。上野のパンダたちは、1972年10月にカンカン(康康)とランラン(蘭蘭)が来園して以来、ずっと東園にいたので、西園に移ったのは初めてだ。

この新パンダ舎は、上野動物園のパンダ舎としては「3代目」に当たる。「初代」は1973年5月、表門の近くにオープンした。カンカンとランランの来園は1972年なのに、なぜ1973年かというと、日中国交正常化で2頭の来園が決まってから、わずか1カ月後に中国から2頭が来て、パンダ舎の建設が間に合わなかったためだ。パンダ舎ができるまで、2頭はなんとトラ舎に住んでいた。

1988年4月には「2代目」のパンダ舎が整備された。これは現在も東園にあり、シャンシャンが暮らしている。シャンシャンは当初、2020年12月末までに中国へ行く予定で、短期間での移動の連続は心身に負担がかかると判断したため、新パンダ舎への引っ越しは見送った。なお、新型コロナウイルス禍により、シャンシャンの中国行きの期限は2021年12月末に延期すると上野動物園が同年3月26日に発表している。

お堀でパンダの脱走を防ぐ

新パンダ舎には、面白い特徴がいくつもある。その1つが、上野動物園で初めて、ガラスを隔てずにパンダを直接観覧できるようにしたことだ(正確には、カンカンとランランが半年ほど過ごしたトラ舎は、観覧者との間を檻で隔てていたので、当時の2頭はガラスなしで観覧できた)。

新パンダ舎で、パンダを直接観覧できるエリアは、屋外放飼場の一部。休園前(上野動物園は2020年12月26日から3カ月以上休園中)は、このエリアをリーリーが使っていた。筆者が訪れると、リーリーの「ワン!」という鳴き声と、バキバキッと竹を割る音が聞こえた。観覧者の姿がガラスに映らないので、写真も撮りやすい。

高いガラスをなくした代わりに、パンダがいる場所と観客用通路の間には、深さ2.5メートル(このうち1.2メートルは地上のガラス柵なので、地面より下は1.3メートル)のモート(お堀)と電気柵、植え込み、低いガラス柵を整備して、パンダの脱走を防いでいる。

ちなみにデンマークのコペンハーゲン動物園では、2020年6月8日に雄のパンダのシンアル(星二)が脱走する事件が起きた。シンアルは、電気柵の下をすり抜けて囲いを出たようだ。閉園中で観客はおらず、シンアルは麻酔をかけられ連れ戻された。同園にパンダが来たのは2019年4月で、パンダ舎の使用歴は短い。筆者が2019年8月に訪問した際、モートは見当たらなかった。

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