シャンシャンに弟妹?上野「新パンダ舎」の底力 4年ぶりとなる子パンダ誕生の期待もかかる

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擬木は、リーリーもシンシンもよく登ったり、もたれかかったりしている。ただし、擬木は高くない。樹木が生い茂っている東園パンダ舎の屋外放飼場と比べると、やや寂しい印象だ。

東園にいた頃のリーリーは、20メートルほどありそうな高い木に登っていた。パンダは年齢が高くなるとあまり木登りをしないので、15歳のリーリーには、さほど必要ないのかもしれない。

だが、子パンダの誕生時を考えると気になる。子パンダは習性として、よく木に登る。シャンシャンも3歳を過ぎた2020年10月から、東園の高い木に登り始めた(それまでは、高い木に登ると降りられない恐れがあるので、登り止めの鉄板を木に巻いていた)。

上野動物園に確認したところ、新パンダ舎では今後、木が育つという想定とのこと。東園にあった高い木の移植はできないため、あらかじめ登れる擬木や、やぐらを設置したというわけだ。

リーリーとシンシンは、2020年8月24日に新パンダ舎に引っ越して、9月8日に公開されたが、しばらくは屋内での公開だった。屋外に慣れるまで時間がかかるためだ。

一方で、シンシンが初めて屋外で公開された2020年10月27日、ある行動が観覧者を驚かせた。

それは、地面に生えている植物を食べていたことだ。前足で植物をむしり、ムシャムシャと食べている。筆者も目撃し、その後もたびたび目にした。

この様子は、SNSでも「食いしん坊のシンシンにサラダバー!」「もはやシンシンは芝刈り機」などと話題になった。「お腹を壊さないの?」と心配する声もある。翔設計の山木さんに尋ねたところ、「植栽は、飼育係の方に『この植物はやめたほうがいい』などと確認していただき、修正しながら決めたので、食べても問題ありません」とのことだ。

どんな植物を食べている??

シンシンが食べているのは、どのような植物なのか。上野動物園によると、「芝やイネ科の植物です。栄養がないわけではありませんが、主食として食べているわけではありません」(教育普及課)との回答だった。

ガラス越しでの観覧エリア。シンシンはここに生えた植物を食べている(写真:筆者撮影)

たくさん食べて、なくなってしまわないか気になるが、「今のところ植物がなくなるほどではないので、植物の補充はしていません」(同)。東園にいた時も、生えている植物を食べていたそうだ。

飼育係や獣医師は、新パンダ舎の使い心地をどう見ているのだろう。

教育普及課を通じて尋ねたところ、「面積が広く、最新の設備も導入されており、良い施設だと思っています。使用を通じて一層の習熟を図り、有効に活用していきたいと考えています」との書面回答を得た。

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