クラブハウスが「幸福度高めるSNSになる」根拠 多様な「弱いつながりの人」を増やす重要性

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――どうしても発信が苦手で、雑談をただ聞いているだけでも楽しい人についてはいかがでしょうか。

1日中誰とも話さずひとりぼっちでいることがいちばんよくないので、ラジオ感覚でClubhouseを聴いてもいいと思いますよ。

80歳になる私の母も、二世帯住宅でひとつ屋根の下に住んでいますけど、普段は1人なのでいつもラジオをつけています。1人だと寂しくてテレビをつけっぱなしにしている人もいますが、テレビのニュースは事件、事故、コロナ関連の情報など、ネガティブな情報ばかり流します。そうすると、見ているほうもネガティブな気分になってきますよね。

でも、世の中にはポジティブなニュースもありますし、ポジティブなことを考えている人もたくさんいます。Clubhouseは、前向きなテーマやリラックスできるテーマで話している人たちがほとんどなので、聴いているほうも楽しく感じる可能性が高いでしょう。

人との会話が減って、テレビから流れてくる情報しか入らない環境にいる方こそ、Clubhouseを活用するといいと思います。

文字に比べると伝えられる情報量が圧倒的に多い

――ポジティブな情報は、TwitterやWebメディアにも探せばありますが、それよりもClubhouseのほうがメリットは大きいですか。

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やはり文字に比べると、実際に会話するほうが伝えられる情報量は圧倒的に多いですよね。

例えば、「ありがとう」という言葉1つとっても、文字で読めばただの「ありがとう」ですが、口で伝える「ありがとう」は100通りの言い方ができる。

顔を出したり背景に気を遣ったりするZoom(ズーム)ほどハードルも高くありませんし、Clubhouseはスマートフォンひとつでどこでもリラックスして話せるので、人の温かみをすごく感じられるツールだと思います。

――最近のClubhouseは、日本に上陸した当初の盛り上がりが過ぎてだいぶ落ち着いています。数人程度で内輪話をしている部屋や、一人で語り続けている部屋など、人によって使い方がいろいろわかれているようにも感じます。

Facebook(フェイスブック)もTwitterも、一度使いはじめた後、離れていった人はいますから、いいんじゃないですか。芸能人が入っている部屋だと、多い時で5000人くらい集まりますし、そういった使い方のバリエーションの多さも多様性ですから。

ただ、フォロワー数を増やすためだけの無言の部屋もありますが、あの使い方はおすすめしません。ほかのSNSにも言えることですが、フォロワー数が増えた、減ったと一喜一憂して、人と比較するようなことは、不幸のはじまりですから。そういうことはいっさい気にせず、興味関心があるテーマの部屋を開いたり、ほかの部屋に入って、話を聞いたりしゃべったり、そのときの気分で上手に利用するといいと思います。

前野 隆司 慶應義塾大学大学院 システムデザイン・マネジメント研究科教授

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まえの たかし / Takashi Maeno

1984年東京工業大学工学部機械工学科卒業、1986年東京工業大学理工学研究科機械工学専攻修士課程修了、同年キヤノン株式会社入社、1993年博士(工学)学位取得(東京工業大学)、1995年慶應義塾大学理工学部専任講師、同助教授、同教授を経て、2008年より慶應義塾大学大学院 システムデザイン・マネジメント研究科教授。2011年4月よりSDM研究科委員長。この間、1990年-1992年カリフォルニア大学バークレー校Visiting Industrial Fellow、2001年ハーバード大学Visiting Professor。
 

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