にっかぽっかの建設オヤジが挑む「テック革命」 クラウド型アプリとともに歩んだ挫折と挑戦

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スパイダープラスの伊藤謙自社長は、かつてはデジタルツールとは無縁の建設会社の経営者だった(撮影:今井康一)

3月30日、建設テック企業「スパイダープラス」が東証マザーズに新規上場を果たした。東京・池袋にある同社の社長室を訪れると、そこには建設職人が現場で着用する「にっかぽっか」が吊るしてあった。

「オブジェですよ。現場感覚を忘れないために」

社長の伊藤謙自(47歳)はその理由について、このように説明する。

伊藤は建設テック企業の経営トップには珍しく、IT畑出身ではなく、デジタルツールとは無縁の建設会社の経営者だった。「社長はたまに、にっかぽっかを着て社内を歩いている」(広報担当者)。どうやらスーツよりも、この作業着のほうがしっくりくるらしい。

業界の「異端児」が挑むテック革命

「異端児」――。伊藤は自分のことをそう表現する。伊藤はなぜ、建設テック革命という未知の領域に挑もうとしたのか。

スパイダープラスは一般的には有名企業とはとても言えないが、建設業界の中では抜群の存在感がある。図面・現場施工を管理するクラウド型アプリ「スパイダープラス」は、図面整理や写真管理、帳票の出力など、煩雑になりがちな建設現場の管理業務をタブレット上で完結できる。

建設現場では、作業管理のために撮影する工場現場の写真は1000枚を超えることがざらにある。その膨大な量の画像をパソコンに落とし込み、整理したうえ、図面と写真をひも付けて施工主などへ報告書を作成するにはたいへんな労力がかかる。

それがスパイダープラスを使えば、撮影した画像はクラウドに保存され、タブレット上の図面にワンクリックで貼り付けることができる。「ここに注意」といった手書き風メモを添えることも可能で、関係者間がリアルタイムで情報を共有できる。

東洋経済プラスの連載「ゼネコン『デジタル革命』」では、この記事の続きを無料でお読みいただけます。
「にっかぽっかのオヤジ」が挑む建設テック革命
ゼネコン界でDX化がなかなか進まないわけ
ゼネコン鹿島、DXで狙う建設業界の「地殻変動」
梅咲 恵司 東洋経済 記者

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うめさき けいじ / Keiji Umesaki

ゼネコン・建設業界を担当。過去に小売り、不動産、精密業界などを担当。『週刊東洋経済』臨時増刊号「名古屋臨増2017年版」編集長。著書に『百貨店・デパート興亡史』(イースト・プレス)。

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