「福岡5歳餓死事件」に見るカルト的手口の異様

オウム真理教の内側と重なって見える

保護責任者遺棄致死罪に問われている母親の碇利恵被告(写真:共同通信)

5歳の子どもが、実の母親から十分な食事を与えられずに餓死する。福岡県篠栗町で昨年4月に起きた事件。保護責任者遺棄致死罪で母親の碇利恵被告(39)と、知人の赤堀恵美子被告(48)が、今月初めに逮捕され、23日に起訴された。

親族以外の人物が保護責任者遺棄致死の罪に問われるのもきわめて異例のこと。そこに浮かび上がるのは、典型的なカルトの構図だ。

「ママ友が悪口を言っている」とでっち上げて親密に

報道によると、2人はいわゆる「ママ友」として知り合ったが、3年前に赤堀被告が「ほかのママ友たちがあなたの悪口を言っている」とウソの話から「私は味方だ」と碇被告に持ちかけ、周囲から距離を置いた親密な関係がはじまったという。

その後、「保護者から子どものトラブルで訴えられた。暴力団とつながりのある“ボス”に仲裁してもらおう」などと架空の話をでっちあげ、碇被告から50万円を詐取する。さらには「お前の夫が浮気している」「浮気調査費用を“ボス”が立て替えている」などと、これまた虚偽の話で碇被告からカネを引き出すと、ついに2年前の5月に離婚に追い込む。

そのうえで「元夫との裁判や慰謝料で今後お金がいるので質素な生活をしなければならない」「慰謝料を多く取るために生活が困窮していると見られたほうが有利だ」などと言って、2019年8月ごろから碇被告の3人の子どもにも食事制限をさせるようになった。

その際も「ボスが怒るから食べすぎたらいけない」「12台の監視カメラでボスが見張っている」などと碇被告を脅している。

しかも、同年11月から碇被告は生活保護を受給していたが、それも赤堀被告に手渡していた。赤堀被告は他にも児童手当など計約200万円を騙し取ったとして、詐欺罪などで起訴されている。詐取した総額は1000万円を超えるとみられている。

赤堀被告は、碇被告の預金通帳を預かり、食費も与えず食料は自ら運んで差し入れるなど、家庭の生活全般から食事の量も管理。昨年3月には食事の差し入れが減り、10日間、水しか与えられないような生活の末に、三男で当時5歳の翔士郎くんが重い低栄養状態に陥り、4月18日に餓死した。死亡時の体重は約10キロで、5歳児の平均18.9キロの半分ほどしかなかった。

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