商売の素質がない人が知らない「儲かる」共通点 SaaSビジネスが「秀逸」と言える三つの理由
原始的な商売、例えば飲食業を想定すると、料理は一度作って食べられてしまえば、当然、二度と売ることはできない。ところが、例えば、本を考えてみると、一度書いた本は印刷することで何千、何万冊と同じものを売ることができる。つまり、一度作ったものを複数回売ることができるというわけである。
商売における1:n構造は、本やCDといった物質的媒体、あるいは物質的媒体を介さずにそのままインターネットで配信することで、爆発的にnの数を増やすことができる。インターネットが商売に対してもたらした最大の影響は、本質的には流通革命で、1:n構造を容易に作れるようになったことだと考えられる。
一度作ったものを一気に提供できる、即ちnの数が圧倒的に増えたことで、成功したサービスの爆発力がインターネット以前とは圧倒的に変わったことが、本質的なゲーム・チェンジなのである。
SaaSのビジネスモデルの本質的な意味
現在、ベンチャーシーンにおいて高い評価を受けているビジネスモデルとして、SaaS(Software as a Service)が挙げられる。
freee(クラウド型会計ソフト)やSmartHR(クラウド型人事・労務ソフト)など、旧来からある大きな市場において、既存の勢力図を塗り替えてしまうような企業も多い。その中でも特にfreeeは、上場時から時価総額が1000億円を突破するなど、株式市場でも高い評価を受けている。
SaaSとは、簡単に説明すると、これまで売り切り型、あるいは独自開発で提供されてきたソフトウェア(例えば会計システムなど)を、汎用化し、クラウドで提供することによって、安価に、広範に提供できるようにしたビジネス、と定義できるだろう。
例えば代表的なSaaSのfreeeであれば、旧来のライセンス型ソフトウェアである「勘定奉行」や「弥生会計」といったソフトが高価で導入ハードルも高いのに対し、簡単に、社員数が少ない企業でも導入できるようにした、というサービスである。