コロナで女性が「大量離職」を強いられたツケ アメリカでは起業を諦める女性も増えている

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女性が離職しているということは、リーダーシップを発揮している女性の数が大幅に減るということであり、将来リーダーになる可能性のある女性の数も減っているということである。

ビル&メリンダ・ゲイツ財団の共同会長であるメリンダ・ゲイツ氏は、3月8日にCNNのインタビューで、「女性が一端職場から離れると、戻るのには時間がかかり、経済の回復が遅くなる要因となる」と語っている。

ゲイツ氏は、女性が離職するのは、無給の家事労働の仕事があるからだと語っている。家事労働に費やす時間は女性の場合、世界全体で週に30時間と計算され、ほぼフルタイムの仕事に等しい。

また、女性は小売り、レストラン、ホスピタリティーなど、景気に左右されやすい分野で雇用されていることが多く、男性雇用との不均衡が生じている。有給休暇や失業保険などの保護がない、自宅での縫製などの非常勤の仕事に就いている女性も少なくない。

家庭の事情で仕事を一時的に断念

モイラ・ジョンストンさんも、家庭の事情を理由に仕事を一時的に諦めた1人だ。

「男性が家庭でもっと多くの仕事を担うのが『当たり前』になるほどの男女平等の観念は普及していない」とジョンストンさんは話す。「誰が『家族の面倒をみるべき』なのかという前提は、この世に生れた瞬間から私たちの精神に焼き付けられている」。

既婚のITスペシャリストで、小学生の娘2人の母親でもあるジョンストンさんにとって、2020年は「変動の多い1年」だった。姉は命に関わる重大な病気で入院し、極度のうつ病となった。末娘は学習障害を指摘され、そのストレスから思いもよらない行動をとるようになり、父親はがんと診断された。こうした試練のときに、彼女の上司は会社を新しいオーナーに売却した。こうしたさまざまな変遷を経て、彼女は休職を決意した。

「自分が納得できるレベルでの職務遂行ができない状況になっていたので、皆の邪魔にならないように、いったん身を引くにはいい機会となった」とジョンストンさんは語る。

夫の出張スケジュールや、子どものそばにいたいという理由で潜在的失業者になる道を選んだが、この先の自分のキャリアアップには不安を抱いている。

「今や401K(確定拠出年金)が恋しく、ほかのコンピューターオタクとのコラボレーションが恋しく、多様性も恋しい。また、新しいやり方を学び、テクノロジーの最先端にいることも恋しい」(ジョンストンさん)

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