コロナで女性が「大量離職」を強いられたツケ アメリカでは起業を諦める女性も増えている
国勢調査によると、男性の収入1ドルに対して女性は81.6セントと、一般的に女性のほうが、収入が少ないことを知っていたジョンストンさんは、家の近くで働くために60%の減給を受け入れた。
キャリアを一時停止するというジョンストンさんの決断は、彼女の家族にはポジティブな影響を与えた。彼女の娘たちにとっては、母親が学校の勉強を手伝ってくれることはありがたいことだ。
ゲイツ氏は前述のCNNのインタビューで、パンデミックが女性経営者のビジネスに与える影響についても指摘している。
女性が経営している企業は、男性が経営している企業に比べ、閉鎖となった確率が10ポイント高かった。これは、女性が経営する企業の多くが、個人事業であるか、従業員5人以下の未公開零細企業という小規模なものであることが原因だった。こうした業態は得てして開業して間もないところが多く、今回のような経済状況下では脆かったのである。
起業計画を断念した女性も
このことは、2月に行われたキトサップ経済開発アライアンス主催の2021年経済予測サミットでも指摘されている。パネルディスカッションの1つは、ビジネスコンサルタントのリンダ・エスピノサ氏が進行役を務め、「教育、キャリア、ストレスとバランス:新型コロナウイルス感染症が働く女性に与える影響」がテーマとして取り上げられた。講演者の1人は、女性の個人事業経営者のアランナ・インバッハ氏だった。
双子の母親であり、コワーキングスペースのオーナーでもあるインバッハ氏は、シアトルで行われた女性創設者同盟(Female Founders Alliance)の調査によると、パンデミックの直前には、調査対象となった女性の87%が起業を計画していたことを指摘した。
が、インバッハ氏によると、パンデミックが発生してから6カ月が経過した時点で、起業を計画していた企業の51%が計画を中止。その主な理由は、安定した財務基盤と資金調達能力を確保する必要があったからである。
「今起きていることは、特権を持つ者の強みである」と彼女は語る。「給料なしで生活できる余裕のある人は前進することができ、創業できるのに対し、その余裕がない人は、創業を諦めざるをえない」。
一方、サンドバーグ氏は心強い傾向を見出した。フェイスブックによる中小企業調査によると、女性経営者はオンラインチャネルでの売り上げが50%以上になる割合が15%高くなっている。パンデミックの間は、顧客層がデジタルツールの使用を開始したり、使用頻度を高めたりする割合が3倍高くなっていることがわかっている。
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