新しい「内閣の顔」、小野広報官への期待と不安 無難なデビュー戦、18日の首相会見が正念場に

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首相会見の司会進行役として今回、内閣広報官が注目されているが、主な役割は内閣全体の広報活動だ。官邸関係者も「司会だけなら広報官室の事務官でもできる。広報官は『内閣の顔』の1人なので任務は重い」(政府高官)と指摘する。

首相外遊の際に定例的に行われる記者会見には、同行記者に加えて多くの外国人記者も参加する。それぞれの会見ルールも違うため、司会役となる広報官には英語による臨機応援の采配も要求される。語学に堪能で海外での広報役もこなしてきた小野氏は、「まさにはまり役」(政府筋)のようだ。

安倍前政権も含め、歴代最長となる通算8年以上、内閣広報官を務めた長谷川栄一氏も、広報官として最も時間を割いたのは「インターネットも含めた国内外の報道ぶりを把握することだった」と述懐する。日常的に、首相や官房長官の記者会見などに反映させるためだ。

広報官という重責

もちろん、海外発信も広報官の重要な仕事だ。菅首相が官房長官当時、「外国に対する日本の発信を増やしてほしい」と指示した際は、長谷川氏とともに小野氏も効果的な海外発信に取り組んだ。

内閣を下支えする仕事が多い広報官は、本来は「目立たない黒子役」(政府筋)である。しかし、初の女性広報官として注目を集める一方、総務省幹部接待問題に関わった山田氏は、政界だけでなく国民からの厳しい視線にさらされてきた。

山田氏と同様、入省時から「極めて優秀」と評価され続け、数少ない女性外交官の1人として国際舞台で活躍してきた小野氏にとっても、広報官というのは予想もしなかった重責とみられている。

小野氏は18日午後、1都3県を対象とした緊急事態宣言の解除に関する菅首相の官邸記者会見で、2度目の司会役を務める予定だ。デビュー時にはお手並み拝見だった官邸記者クラブも「今度はいろいろと注文をつける」(有力加盟社)のは間違いない。

特に、緊急事態宣言の全面解除がテーマとなる18日の会見は、菅首相にとっても「説明不足という汚名を晴らす勝負の場」(側近)となる。それだけに、小野氏が持ち前の「控えめな自然体と柔らかい笑顔」(外務省幹部)で首尾よく司会役の使命を果たせるかどうか。新広報官として早くも正念場を迎えることになる。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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