このような考え方は中国でも存在し、主に若者を中心に「顔値(顔面偏差値)」が社会的な成功に影響すると考えられている。中国の美容医療アプリ「更美」と求人サイト「BOSS直聘」の共同調査による「中国青年の顔値競争力レポート」によると、求職者は仕事の経験と学歴に次いで、見た目が採用に影響すると考えたという。見た目をよくする最も効率的な手段には、美容医療が挙がった。
実際に、この数年で中国の美容医療市場は急拡大している。iiMedia Researchの調査では、中国の美容医療市場のユーザー数は2018年の740万人から、2020年には1520万人まで増加すると予測している。
若者が目指すのはぱっちり二重だけではない
見た目を気にする男性たちは、どのような顔を目指すのか。「日本男性は目を二重にする整形手術から始める人が多く、韓国男性は目や鼻の手術を行う傾向が強い。また韓国では一重のような奥二重が好まれやすく、鼻は典型的な直線ラインが人気だ」(加藤代表)。
例えば鼻は、ドラマ「梨泰院クラス」の主役を務めた俳優パク・ソジュンのような鼻筋の通ったスタイルが定番。鼻の整形にはシリコンを使用した隆鼻術や鷲鼻整形、鼻先を細く控えめにする鼻尖形成など大掛かりな手術法が行われる。
カンナムオンニのユーザーは韓国での手術を望む人が多い。その理由の1つにはデザイン性がある。「新型コロナで渡韓できなくなったため、肌治療などは割高でも日本で受ける人が多い。ただし切開を伴う不可逆的な手術に関しては、渡韓できるまで待ってでも比較的安く、好みのデザインに近い形で仕上がる韓国で受けたいと考える人が多いようだ」(加藤代表)。
韓国ソウルのルホ美容外科も、この4~5年間で男性患者の比率が上がった。同院は目や鼻、糸リフトや顔の脂肪吸引などをメインに施術しており、来院者の4割が男性だ。同医院のパク・イル代表院長は、男性患者が増えただけでなく、整形手術の希望も多様化したと話す。
「韓国男性は最近人気の(K-POPグループ)BTSメンバーの写真を持ってくるケースもある。しかし、ある特定の芸能人の顔そのものになりたいというよりは、その芸能人の顔の中から気に入った特定部位だけを似せたいというケースが多い。日本人患者の場合はニーズが多様だが、二重がほとんど見えない一重瞼を好む場合が多い」(パク代表院長)。
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