「老ける」ストレスと「若返る」ストレスの差とは 「金銭的なストレス」が最も老けるという研究も

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産業組織心理学者のキャリー・クーパーは、ストレス対策に最も必要なのは「コントロール感」だと言います。「私にはいま明確な目標があり、これを達成するには何をすべきかわかっている」と心から思える状態のことです。

もしあなたが上司に怒られたとしても、「自分が予算の確認を怠ったのが原因だ」といったように明確な理由がわかれば、さほどストレスはたまりません。次からは予算確認を忘れなければいいだけだからです。

しかし、このとき上司に怒られた理由がわからなければどうでしょう? 「なんで急に怒られたんだ?」や「上司に嫌われているのか?」などの疑念にとらわれ、いつまでもストレスは消えないはずです。

だらだらテレビを見て休んでいたら、そのあいだは楽しかったはずなのに寝床に入ったら虚しさに襲われた。買い物で好きな商品を購入して気分が上がったが、すぐ元に戻ってしまった。

そんな経験は誰にでもあるでしょう。テレビや買い物は気楽で楽しい行為ですが、そこには他人から与えられたものを消費する受け身の姿勢しかないため、前向きな気持ちが生まれにくくなります。そのぶんだけ、休憩としての効果も低くなってしまうのです。

コントロール感を得やすい休憩法とは?

コントロール感を得やすい休憩法には、次のようなものがあります

・新たなスキルの学習:外国語の学習や楽器の練習など未体験の技術を学ぶ
・友人との交流:親しい仲間と日常の問題やストレスについて語り合う
・他者への親切:ボランティアやコミュニティ活動、友人へのアドバイスなど
『不老長寿メソッド 死ぬまで若いは武器になる』(かんき出版)。書影をクリックすると、アマゾンのサイトへジャンプします

知らない知識や技術を学び、友人と意見を交わし、他人のために心を配る。いずれの行為も積極性が強く、おかげで私たちのコントロール感は上がります。結果としてポジティブな感情が高まり、ストレスから回復しやすくなるのです。

言い換えれば、本当に効果的な休憩は、すべて「攻め」の姿勢を持っています。「やることがないからテレビを見よう」「暇だから買い物に行こう」といった受け身の行動ではなく「明日は昼から楽器の練習」や「友人に悩みを相談する」のように明確な意図を持って休憩をデザインしていく攻めの姿勢が、あなたの脳にポジティブな刺激を与えるのです。

ぜひ、「快いストレス」と「積極的な休憩」を組み合わせ、健康と若返りを実現させましょう。

鈴木 祐 サイエンスライター

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すずき ゆう / Yu Suzuki

1976年生まれ、慶應義塾大学SFC卒業後、出版社勤務を経て独立。10万本の科学論文の読破と600人を超える海外の学者や専門医へのインタビューを重ねながら、現在はヘルスケアや生産性向上をテーマとした書籍や雑誌の執筆を手がける。自身のブログ「パレオな男」で心理、健康、科学に関する最新の知見を紹介し続け、月間250万PVを達成。近年はヘルスケア企業などを中心に、科学的なエビデンスの見分け方などを伝える講演なども行っている。著書に『最高の体調』(クロスメディア・パブリッシング)、『ヤバい集中力』(SBクリエイティブ)他多数。

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