東証の市場区分変更で「買われる銘柄」はどれか 「プライム市場」生き残りへの最終サバイバル
さて、来年に向けてそれぞれの企業の株価はどうなるのだろうか。すでに、その影響は少しずつ出ているようだ。大まかに2つに分けられそうだ。
まず、TOPIX構成銘柄から外れそうな企業は、インデックス型の投資信託・ETFの投資対象から除外されるため、すでに投資家から敬遠されやすくなっており、生き残りのために株式の持ち合いを解消し、需給がさらに軟化しているケースも見られる。
一方、意欲的な中期計画を公表するなど、株主へ積極的な情報開示をして株価を必死に上げようとする企業や、グループにおける戦略の見直しで、親会社などに吸収され上場廃止する会社なども見られる。
では、来年4月4日移行完了後はどうなるだろうか。銘柄選定ルールについては、別途作成が行われる。重要なポイントは以下の3点だ。
当面「東証1部ブランド」を継承するのは?
現在のTOPIX では、上場株式数から大株主上位10位の保有株式や役員等の保有株、自己株式などを固定株としてみなし、それらを除外したものを「浮動株」と定義している。ただし証券金融会社の保有分などは浮動株とみなされるほか、信託銀行や証券会社などの保有分についても、一定条件を満たせば浮動株として取り扱われる。その一方で、大株主上位10位に載らない持ち合い株などは浮動株とみなされ、問題点として指摘されてきた。
そこで新制度では、簡単に言えば持ち合い株式は、新たに固定株として取り扱うことになった。これによって、上場会社間の持ち合い状況は、以前より正確に捕捉されると考えられる。もし固定株が増えることを嫌って持ち合い解消が進めば、需給悪化が起こり、株価への悪影響が出ることになるだろう。
結局のところ、来年4月に消えてなくなる「東証1部」ブランドを継承するのは、当面は玉石混交の「プライム」でなく、「新しいTOPIXに組み入れられる企業」になるかもしれない。前述のようにすでに東証1部に滑り込んだ新興企業や、基準を下回っている老舗企業は、当面改善計画書を出せば、プライム(新しい東証1部)に残ることができ、基準が甘くなるからだ。「プライム」の企業に注目するよりも、新しいTOPIXに組み入れられる企業に注目したい。
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