東証の市場区分変更で「買われる銘柄」はどれか 「プライム市場」生き残りへの最終サバイバル

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3つめは「上場廃止基準」や「東証2部への指定替え基準(退出基準)」が低かったことだ。東証1部への上場後は時価総額が低くても企業へのプレッシャーがほとんどない「ぬるま湯状態」だった。3月1日現在、1部上場企業の約30%(約700社)は時価総額が250億円を下回っている。また約45%(約1000社)のPBR(株価純資産倍率)が解散価値とされる1倍を下回るなど、東証1部上場企業の質の低下も問題となっている。

さらに極めつきとして、東証1部上場企業はすべてTOPIX(東証株価指数)に組み込まれるため、企業価値が低く、改善がなかなか実らない企業にまでインデックス運用の資金が流れ込んでしまうという弊害も起こっていた。一度東証1部に上場してしまえば、TOPIX採用企業ということでファンド等からの資金が入りやすく、実力以上に株価を高く維持することが可能だった。

6月30日の「移行基準日」が目の前に迫ってきたが、市場再編・新指数に向けた6月以降のスケジュールは以下のとおりだ。

●6月30日:移行基準日。東証が上場会社に対して、移行基準日における数値を上場維持基準と照らし合わせ暫定的な判定をする。また新市場区分の選択に際して必要な手続き、提出書類等を明示して7月30日までに通知する。
●9~12月:上場会社が市場選択の手続きを行う。
●2022年1月中:東証が上場会社の新市場区分公表(東証ウェブサイト内)
●同4月4日:一斉移行日(新市場区分への移行完了)

一時は衝撃が走ったが…

さて、一連の見直しに向け、東証が昨年12月25日に発表した「2つの文書」(①「市場区分の見直しに向けた上場制度の整備について、②「TOPIX(東証株価指数)等の見直しについて」は関係者に大きな衝撃を与えた。

簡単に紹介しよう。もっとも注目すべきは、もちろん新東証1部である「プライム」市場への上場要件だ。実質的な基準は、(1)流通株式時価総額100億円以上、(2)流通株式比率35%以上、(3)「従来よりも一段高いガバナンス」の3点である。ガバナンスについては、東証からこの春以降に基準が公表される見込みだ。

ここで重要なことは、現在の東証1部銘柄は、新上場基準を満たしていない場合でも、「計画書」を提出することで、緩和された基準でプライム市場に上場することができる。上記の(1)は1年以内に100億円以上とすることが求められるいっぽう、(2)は改善期間に定めはなく、事業年度末に「計画書」に基づく進捗状況を開示すればよい。なお「流通株式」とは実質的には現在のTOPIX浮動株の定義と酷似したものと理解されている。

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