テレビが震災特番で伝えた3.11から10年の重み 「美談」を安易に持ち出さず、外さなかった本質

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今でも多くの人の記憶に残る、あの日から10年が経ちました(写真:Kiyoshi Ota/Bloomberg)

2021年3月11日14時46分、東日本大震災から10年の節目を迎えました。そのとき、テレビはどんな番組を放送し、どんなメッセージを発信していたのか。

今年は民放キー局5局とNHKが防災プロジェクト「キオク、ともに未来へ。」を実施。局の垣根を越えて映像や情報を共有しながら番組制作していました。下記に、各局で放送された番組内容を紹介するとともに、その傾向や共通点などに注目しながら見ていきましょう。

まず日本テレビは13時55分~19時にかけて、「NNN 未来へのチカラ ミヤネ屋×every.×zero×バンキシャ!特別版」を放送。宮根誠司さん、藤井貴彦アナ、鈴江奈々アナ、陣内貴美子さん、有働由美子さん、福澤朗さん、夏目三久さんと報道番組のキャスターが一堂に介し、さらに福島県の池上彰さんと中継を結ぶという日本テレビの総力を結集するような顔ぶれがそろいました。

番組内容は、これまでに取材した被災者との「再会」をテーマに10年の日々を尋ねたほか、福島第一原発の爆発映像を最新技術で解析して「黒い煙」の正体を追究。さらに各局の映像を集めて巨大津波を徹底検証、被災経験のある羽生結弦選手からのメッセージ、震災で途絶えた名店を復活させた人々に「災害を乗り越えるヒントを尋ねる」などのコーナーが放送されました。

「未来の命を守れるように」

番組の最後に藤井貴彦アナが「未来の命も守れるようにこの経験を伝えることが大切です。歴史は伝える人によって作られることを忘れないでください」「3月11日、東京にいては節目にもなりませんので来年もお伝えします」というメッセージを発信しました。これは「1人ひとりが伝える人になっていきませんか?」という問いかけであり、「私たちの番組はずっと伝え続けていきます」という決意表明だったのではないでしょうか。

放送時間の長さ、被災地の広範囲なカバー、取材対象者の多さとつながりの深さ、藤井貴彦アナというアンカーのメッセージ性など、11日午後に放送された番組の中で最もジャーナリズムを感じさせました。

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