この10年で「3つのこと」を諦めた日本の盲点 社会学者の開沼博が考える日本が変わらない訳

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東日本大震災から10年経っても「変わらないこと」が多い日本。その強固な「変わらなさ」の正体とは何か(写真:bee/PIXTA)
10年前に東日本大震災・福島第一原発事故が発生した時、「歴史の大きな節目になるだろう」「3.11以降、日本はがらりと変わる」といった論調が数多く見られたが、本当に日本は変わったのだろうか。福島県出身で3.11研究・実践の第一人者でもある社会学者で、先ごろ『日本の盲点』を上梓した開沼博氏が、いつ新たな危たな災害に見舞われてもおかしくない現状を踏まえつつ、この国の変化と「まったく変わっていない部分」を見つめる。

忘れ去られた10年前の議論

――東日本大震災、福島第一原発事故により近代文明の行き詰まりが露呈したという論調が多く見られ、3.11以降、日本はがらりと変わると考えた人も少なくなかったようです。3.11前後での日本における最も大きな変化は何でしょうか。

まず変わらなかった部分を振り返ることから始めるべきでしょう。何が変わらなかったのか。それはなぜか、と。

いま改めて10年前に視座を置きなおしてみれば、エネルギー政策を、防災・危機管理の体制を、根底から変えるべきだという声が世間ではかまびすしかった。あるいは、21世紀半ばをめがけて、少子高齢化・人口減少、地域での安心・安全なくらしの持続的な確保、環境負荷や地球温暖化の解決に取り組むべし、とも言われていた。これらは「東日本大震災復興基本法」の頭に書いてあったことです。

どうでしょう。これらの具体的テーマについて、がらりと変わったでしょうか。そもそも、当時にそんな議論があったこと自体を忘れている人が大多数でしょう。

その背景には、何らかの強固な「変わらなさ」が控えている。まさにこの「日本の変わらなさ」について、私は『フクシマの正義 「日本の変わらなさ」との闘い』において触れていました。これは2012年9月刊行の本です。つまり、こうなることは、当初から見えていたんです。

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