その男、凶暴につき ヤバイ日本建設大綱<下> 猪子寿之・チームラボ社長に聞く

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「日本メーカーって、物理的なものを作る会社。でも、今の感動って、インターフェースにしろ、コンテンツにしろ、ソフトウエアの領域にある。ハード中心の日本メーカーの開発プロセスには乗らない。10年前、携帯電話でソフトメーカーのアップルにやられるなんて、誰が思いました。日本メーカーの先行きはもうないです。全部、滅ぶんです」

産経新聞のizaも、実は、やりたいことの2~3割しかできなかった。途中から、産経の社内バランスに配慮した運用に切り替えられたからだ。今は、ぐるなびの母体NKBの役員も外れている。

ぐるなび会長の滝に取材を申し込んだら、広報を介して簡単な返事が返ってきた。「よく存じ上げていない。お話しすることもない」。

猪子が「飛びすぎている」のか、日本社会が遅れすぎているのか。猪子が引き合いに出すのは、「ウィニー」とユーチューブの対比である。

猪子によれば、東大助手が開発したファイル交換ソフト・ウィニーはサーバーの仲介を必要とせず、よりネット的、未来的な技術だった。ところが、開発者は逮捕された。

「ウィニーは著作権法的には真っ白。単なるソフト=包丁だから。使いようで人を傷つけると言って、包丁製造会社が逮捕されますか」。

一方のユーチューブはファイルを“預っている”。「真っ黒でしょう。なのに、ユーチューブは米国でヒーロー、こちらは犯罪者。未来はどっちなんですか。何度でも言いますよ。そんな非寛容な、未来のわからない人たちが支配している社会では、次のグーグルは出てきません」。

「電波」が課したミッション=日本経済の再建は、前途遼遠だ。

「いいんです、モルモットで。犯罪者扱いされない程度にグレーなこと、ヤバイことをやっていきたい。未来のヒントを感じてもらえばいい。できる範囲内でやろうという人が増えていったら、もしかしたら、社会が変わるかもしれない」

インタビュー後、丁寧にエレベーターの前まで見送ってくれた。「電波」は必ずや、ヤバくも潔い、この日本紳士=サムライを見守ってくれるはずである。[終わり]
=敬称略=

(撮影:尾形文繁 =週刊東洋経済2010年4月10日号)

梅沢 正邦 経済ジャーナリスト

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うめざわ まさくに / Masakuni Umezawa

1949年生まれ。1971年東京大学経済学部卒業。東洋経済新報社に入社し、編集局記者として流通業、プラント・造船・航空機、通信・エレクトロニクス、商社などを担当。『金融ビジネス』編集長、『週刊東洋経済』副編集長を経て、2001年論説委員長。2009年退社し現在に至る。著書に『カリスマたちは上機嫌――日本を変える13人の起業家』(東洋経済新報社、2001年)、『失敗するから人生だ。』(東洋経済新報社、2013年)。

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