その男、凶暴につき ヤバイ日本建設大綱<下> 猪子寿之・チームラボ社長に聞く

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「どこまでがエンジニアの仕事で、どこまでがデザイナーの仕事なのか。境界が超あいまい。テクノロジーとクリエーティビティが水のように混ざり合い、絡み合っている」。

創業以来、猪子が直感した方向性に間違いはない。競争力の源泉は、テクノロジーとクリエーティビティの融合。が、さらに言えば、究極はクリエーティビティだ。「今までと真逆なことを言いますが」と猪子。

「テクノロジーは最終優位性にならない。テクノロジー=ソースコードは一瞬でシェアされるので」。英語が読め、ネットに接続できれば、誰でもテクノロジーは修得できる。

だが、クリエーティビティは違う。クリエーティビティは文化に依拠し、文化は豊かさに依存する。ゆえに、先に豊かなほうが断然有利。

「iPodや任天堂のWii。超途上国であんなコンピュータの塊みたいなものを買える人は自宅にオーケストラを呼べるし、庭でサッカーもできますよね」。

平均所得水準が高く、それでも大半の人々がマンションから電車通勤する環境でこそ、iPod、Wiiが生まれる。

非寛容な日本 ウィニーvs.ユーチューブ

猪子の結論。先進国・日本が生き残る道は、クリエーティビティのエッジを立てた「おしゃれハイテク」「おもろハイテク」の産業化である。

広報担当氏にすれば、チームラボは極めて日本的な企業である。スウェーデンでは、締め切り後にすごい原稿が到着すると、平気で発行日をずらす。1日遅れても死人が出るわけじゃなし--。「日本で『ジャンプ』が火曜に出たら暴動でしょう」。

チームラボも仕事の納期は絶対厳守。伝統の日本的規律を保持し、情報化社会では日本的価値観こそが輝くと確信してもいる。その猪子の不幸は、“今の”日本に生まれ合わせてしまったことかもしれない。

07年、チームラボはauに革新的な携帯電話を提案した。キーを押すと、そのリズムに合わせて画面に水墨画が描かれる。仕事の話ばかりしていると、画面に現れたオフィス街がどんどん膨張していく。「おもろ」とハイテクの合体だが、ついに生産ラインに乗ることはなかった。

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