全人類が「不安から逃れられない」科学的根拠 「今すぐ不安を和らげる方法」もあわせて紹介

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一方で、そのまま不安に押しつぶされないか心配になってしまう人もいると思います。不安を感じることは当たり前、その上で上手に不安と付き合う方法があるにこしたことはありません。夜、漠然と不安を感じるのであれば、「何かを抱きしめる」というアクションを試してみてください。

「ハグ」の世にも不思議な効能

そもそもハグには驚くべき効果があります。南カリフォルニア大学のライトらの研究では、パートナーからの頻繁なハグで幸せホルモンと呼ばれるオキシトシンが増加することが判明しています。

また、カーネギーメロン大学のコーヘンの研究では、406人の健康な成人に、各自2週間にわたって毎日の活動の内容やハグの有無、人間関係のトラブルがあったかなどをインタビューし、そのうえで被験者を人為的に風邪のウイルスにさらし(すごい実験を行うものですね……)、病気への耐性がどれだけあるかを調べました。

その結果、人間関係のトラブルの有無は、罹患リスクと無関係だったのですが、ハグをした人は罹患リスクが減少していることがわかりました。さらに、隔離された被験者たちが、その後の4週間でインフルエンザの症状を発症するかどうかを調査したところ、「頻繁にハグ」をしていたオキシトシンレベルの高い被験者たちは、重度の症状には至らなかったというのです。

驚くことに、自分1人でもできる“ものへのハグ”にも効果があるといいます。

国際電気通信基礎技術研究所(ATR)のスミオカらの研究によると、離れたところにいる見知らぬ相手と電話で話す際に、たとえば「抱き枕」ような“ ハグできるもの”をハグしながら話すと、ストレスホルモンであるコルチゾールの値が低下し、幸せホルモンのオキシトシンが増加することが観察されています。見知らぬ相手でも効果があったのですから、家族や友人と電話をする際には、さらに効果を生むことでしょう。

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