全人類が「不安から逃れられない」科学的根拠 「今すぐ不安を和らげる方法」もあわせて紹介

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夜、不安になったり、気持ちを落ち着けたいときは、クッションやぬいぐるみなどを抱きしめるだけでストレスが和らいでいきます。些細なことかもしれませんが、「備えあれば患いなし」です。

また、「ふて寝」に代表される、イヤな気持ちを断ち切るために眠って忘れようとする行為にも落とし穴があります。陰うつとした気持ちも、眠りさえすれば、翌朝は和らいでいるに違いない……そう思いたいところですが、実は“ふて寝”のようにマイナスの感情を抱えたまま眠ることは、さらなるストレスを生み出しかねないのです。

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北京師範大学のリウらの研究では、男性被験者73人を対象に3回にわたる睡眠にまつわる実験を行いました。リウらは、被験者たちに動物の死骸や拳銃を向けられるシーンなど嫌悪感を覚える52枚の写真と、それに関連する男女の表情の写真を2日間にわたり見せて覚えさせ、次の4つのグループに分け、睡眠が記憶に与える影響を調査しました。

【グループ1】
写真を見終わった30分後に、嫌な写真のことをどれだけ覚えているかをテストしたグループ。

【グループ2】
写真を見終わったあとに、そのまま睡眠をとり、翌日テストを行ったグループ。

【グループ3】
写真を見終わったあとに、美女の写真を見せるなど気分転換を行い、その30分後に嫌な写真をどれだけ覚えているかをテストしたグループ。

【グループ4】
グループ3と同様に気分転換を行ったあと、睡眠をとり、翌日テストを行ったグループ。

すると、【グループ1】と【グループ2】には差異は見られなかった一方、【グループ3】と比べて【グループ4】は、嫌な記憶が3分の1に減少していたことがわかったのです。寝ているあいだに記憶が定着するというのはよく知られていますが、嫌な記憶もしかり。ゲームでも読書でも構いませんから、自分が楽しいと思えることをしてから寝ることが大事というわけです。

不安は人間しか持たない「武器」のようなもの

不安はあらゆる行動原理に通じます。考えすぎるのも、悩むのも、口コミに頼るのも、行列に並ぶのも、ブランドが好きなのも、権力になびくのも、世間体が気になるのも、ありとあらゆる行動が、「不安」を解消したいという気持ちが原動力になっています。

ですが、ちょっとしたことに対してでも不安になるくらいが、ちょうど良いのです。冒頭で触れたように、不安で心配性であるほうが危険に対する準備がしやすく、生存競争で有利になることができます。

不安は必ずしも「ネガティブ」なものと捉えず、「武器」として捉え、上手につき合っていくことも大切です。不安は誰もが感じます。とりわけ、夜ともなれば大きな不安にかられることもあるでしょう。だからこそ、受け入れた上で、和らげていくためのアクションを取り入れるようにしてみてください。

堀田 秀吾 明治大学教授

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ほった しゅうご / Syugo Hotta

言語学博士。熊本県生まれ。シカゴ大学博士課程修了。ヨーク大学オズグッドホール・ロースクール修士課程修了。言葉とコミュニケーションをテーマに、言語学、法学、社会心理学、脳科学などのさまざまな分野を融合した研究を展開。熱血指導と画期的な授業スタイルが支持され、「明治一受けたい授業」にも選出される。研究の一方で「学びとエンターテインメントの融合」をライフワークとし、研究活動において得られた知見を活かして、一般書・ビジネス書等を多数執筆、テレビ番組にも出演する等、多岐にわたる活動を展開している。

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