日本中が新型コロナウイルスの激震に見舞われてから、1年が経ちました。各地域においては、観光産業を中心に、依然として大きなマイナスが続いています。
しかし、一方では惰性で続いていたようなイベントが相次いで中止となるなど「やめるにやめられなかったこと」が全面的に見直せる「いい契機」になった、と前向きに捉えることもできます。
コロナ禍で「視察見学」の実態がバレバレに
その代表の1つが各地域への「視察見学」です。これまで議員や各種団体の「お偉いさんたち」が日本全国、いや全世界に向け「その年の成功事例を視察する」などという名目で、こぞって訪問しておりました。
本来なら文字どおりその地域に足を運び、現場でしか聞けない話を聞いて帰り、自分たちの団体などが抱える課題を解決する貴重なヒントにする──。これが目的のはずです。しかし実際は「俺が行って勉強してくる」などと言って聞かない「お偉いさん」があまりに多かったのです。こうした物見遊山のやからが現地を実際に視察して、そのあと実になったことなど1つもありません。
しかし昨年コロナ禍になり、これが一変したのです。地方に大挙して団体で押し寄せた揚げ句「現地の見学もそこそこに後は宴会をやって宿泊」などといったことはできなくなりました。代わって、視察見学の多くはオンライン開催になりました。そうしたところ、これまで「俺が行く」といって聞かなかった人たちは、各組織の若手に「俺は出ないから、お前が参加しろ」などといって若手にオンライン視察の担当を譲るようになったのです。
インバウンド政策での地域振興を掲げる自治体などでは、ついコロナ禍の直前まで「最新の海外の観光政策を視察する」などと言って、組織の金と税金をたっぷり使い、熱心に海外に出かける地域も多々ありました。
なかにはこんなケースもあります。その地域の方々は「ワインツーリズムが大切なので、アメリカのカリフォルニア州のナパバレーを視察した」と視察報告書で実績を誇示していました。その後、日本に帰って地元で実践したのがなんと「ワンコインワインバスツアー」だったのを知ったときには「いったい、この人たちは何を勉強してきたんだ……」と絶句したのを覚えています。
しかし、こんなのは、まだましなほうです。
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