魅力は「山の中」にあり、岐阜県ご当地鉄道事情 新幹線でボーッと通り過ぎている場合じゃない

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岐阜県の鉄道を路線図で見ると、そのほとんどが南部に集中していることがわかる。揖斐川・木曽川・長良川の木曽三川によって形作られた濃尾平野は、名古屋市をはじめとする愛知県西部から岐阜県南部にまで広がっている。

県都・岐阜から鵜沼までは高山本線だけではなく名鉄各務原線も並行する(筆者撮影)

そして岐阜県の県庁所在地である岐阜市と名古屋はJR東海道線と名鉄名古屋本線でつながっているのだ。所要時間はおおよそ20〜30分。首都圏だったら軽く1時間はかけて通勤している人があふれていることを思えば、名古屋と岐阜はあまりにも近い。

そんなわけで、岐阜市を中心とする県南部は名古屋のベッドタウン、通勤圏内という意味合いが強い。同じ濃尾平野に属しているのだから当然のこととも言える。県境は跨ぐも、同一の経済圏として人々は動いている。

岐阜県南部の鉄道網が充実しているのはそうした背景によるものなのだろう。JR岐阜駅を中心として見れば、東海道線が南に名古屋方面へ、西は大垣・米原方面へ。米原に出るまでには関ケ原も通る。そして東に向かっては高山本線が延びている。この高山本線は、岐阜県において南北を貫いている唯一の鉄道だ。

とにかく山の中を走る

高山本線はとにかく山の中ばかりを走る。美濃太田を出ると、ひたすら飛騨川に沿って北に進む。木曽路はすべて山の中だと言ったのは島崎藤村だが、高山本線もすべて山の中である。

飛水峡をゆく高山本線。トンネルが多い分、さまざまな山の風景が楽しめる(筆者撮影)

東には飛騨山脈、西には両白山地が連なり、狭い峡谷の間を縫うように走ってゆく。途中には飛水峡や下呂温泉、飛騨の小京都として名高い高山などがある。2016年にヒットした映画『君の名は。』には飛騨古川駅そっくりな風景が登場する。

と、見どころばかりの観光路線なのだが、いかんせん運転本数が少ない。

特急「(ワイドビュー)ひだ」が1〜2時間おきに走ってはいるものの、普通列車は南部の岐阜―美濃太田間に集中していて、美濃太田以北は3時間近く列車間隔が開くこともある閑散線区だ。それでも特急が走っているから十分なのだろうが、やはり山越えの鉄道は厳しい旅なのである。

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