サッカーとラグビー「異例タッグ」実現の深い訳 グランパスがチケット販売ノウハウを提供

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Jリーグの場合、チケット購入時には「JリーグID」を登録する仕組みになっている。購入者情報が蓄積され、その後の来場喚起などに役立てられるようになっている。名古屋も現時点で約20万人分の顧客情報があり、その分析結果に基づいた企画立案や試合誘導ができるようになっている。

昨年からのコロナ禍で最大でもスタジアム収容規模の50%しかチケット販売ができない悩みはあるものの、こうしたデータを駆使しながら可能な限りの策を講じた結果、2020年の名古屋はホーム平均観客8557人と首都圏の大スタジアムをホームとする浦和レッズや横浜F・マリノスを抑えて1位に躍り出た。

コロナ禍での来場喚起策

「昨季はコロナの影響を踏まえて収容規模の40%を上限にしたクラブもあり、必ずしもわれわれがトップだったとは言い切れない部分もあるのですが、感染対策を徹底して安心安全のスタジアムにする努力は怠りませんでしたし、顧客の来場傾向を見ながら、メールなどでの個別のアプローチも展開しました。

J1ホーム18試合を見ると、人気カードとそれ以外がどうしても出てきます。開幕戦や大型連休、夏休みなどは自然と観客数が増えますが、平日夜の試合だと集客に苦労することもある。そこである試合の来場者にそれ以外の試合もお得に観戦してもらうサービスなどを提供し、来場喚起を図ってきました」と清水専務は努力の重要性を口にする。

コロナ禍ではイベント実施も難しいが、2019年までは年間のべ120回の多種多様な催しを展開してきた。複数試合に来ると押せるスタンプラリーは子どもに人気を博したし、夏休み恒例の目玉企画・鯱の大祭典では小中学高生を1万人招待。サッカーの楽しさを体感してもらう絶好の機会になっていた。

今月3日のJ1・ガンバ大阪戦が、相手チームのコロナ感染者発生で急きょキャンセルになった際も、スタジアム来場者に練習を公開するという粋な計らいを行った。そういう「ファン第一」の考え方は今の名古屋の哲学。そこは特筆すべき点だ。

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