サッカーとラグビー「異例タッグ」実現の深い訳 グランパスがチケット販売ノウハウを提供
「昨年はコロナ感染者数の変動によって観客上限が変動していた関係で、チケット販売開始を1週間前に設定することが多く、大がかりなイベントを準備することができなかったのですが、スタンプラリーやトークショーなどは実施しました。
コロナ禍での集客企画もヴェルブリッツさんと必要に応じて共有できると思います。ワクチン接種が始まり、徐々にコロナも終息に向かっていくことを望みますが、ラグビー新リーグが始まる2022年はまだ影響が残るかもしれません。それを踏まえながら、マーケティングを考えていくことはJリーグやラグビーのみならず、スポーツ界全体にとって重要だと思います」と清水専務は神妙な面持ちで語っていた。
名古屋の30年近いノウハウを学ぶことは有益だとヴェルブリッツ側も認めている。高橋一彰GMも「他競技との連携でさまざまな可能性が生まれる」と大いに歓迎している。
「われわれの拠点・トヨタスポーツセンター内ではグランパスを筆頭に野球部、女子ソフトボール部なども活動していますが、今までは横のつながりがやや乏しいところがありました。今回の連携が社内全体の結束強化、地域活性化につながり、地元やグローバルの人々に恩返しができれば理想です。地元のスポーツファンを掘り起こしていくことも将来の発展につながる。そうなるようにグランパスと足並みを揃えてやっていくつもりです」
ラグビーとサッカー、相互のファンを誘導
地域住民のスポーツ需要の掘り起こしという観点で言うと、サッカーとラグビーが協力体制を取ることは重要な一歩になる。愛知県は755万の人口を誇り、トヨタ関連従業員やその家族だけでも10万人をゆうに超える。相互に観客誘導を図ることは確かにプラスになるはずだ。
ヴェルブリッツの三好友博事業担当も「昨年11月のグランパスのホームゲームでヴェルブリッツの今季開幕戦のビラ配りをしたところ、サポーターの方から『ラグビーもぜひ見に行くよ』『応援してるよ』と温かい声をいただきました。われわれの選手が参加したトークショーも関心を持っていただいたようです。2019年W杯後にも選ばれた茂野海人・木津悠輔両選手に対して試合前にセレモニーとトップリーグ開幕戦の告知をさせていただきましたし、その協力にも感謝しています。
ヴェルブリッツのファンクラブも現在は一時休止中で、新リーグ発足後に再度立ち上げを予定しています。そのときにはグランパスのサポーターの方々の支援を得られるとありがたい。今はマーケティングの基本の基から学んでいるところです」と共闘体制に手ごたえをつかんでいる。
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