サッカーとラグビー「異例タッグ」実現の深い訳 グランパスがチケット販売ノウハウを提供
同じ豊田スタジアムをホームとする両社だけに、コラボできる部分は少なくない。今年は豊田市制70周年の節目の年。今季トップリーグ開幕戦・東芝戦はパロマ瑞穂ラグビー場が会場だったこともあり、4305人にとどまったものの、豊田開催であればより多くの動員を期待できる。それを名古屋とともに行っていけば、両者ともに固定ファンを増やせるはずだ。
こういった相乗効果は名古屋側も期待する部分。J発足時からのホームだったパロマ瑞穂スタジアムが改築工事に入り、今季からは豊田で全試合開催となることを踏まえても、潜在的なファン層拡大は最重要課題と言っていい。
「相互集客はわれわれにとっても大きなメリットになります。愛知県には野球・バスケ・バレーボールなどさまざまなチームがありますから、チケットを一度に買えるようなシステムを作れれば横断的に観戦する方も増える。そういうことも長期的には考えていければいいと思います」
マーケティングノウハウをスポーツ団体へ外販
清水専務が言うように、これまで1つの地域で複数競技のチケットを同時に買えるというスタイルはあまり見当たらなかった。中日ドラゴンズとグランパス、ヴェルブリッツ、シーホース三河、トヨタ車体クインシーズのチケットが一元管理され、多彩な試合観戦が可能になれば、愛知県エリアのスポーツ人気はより高まり、レベルアップにもつながるだろう。
「グランパスとしては、今回の提携を機に、マーケティングのノウハウや蓄積を他のスポーツ団体に提供するビジネス展開も中長期的視点で考えています。コロナ禍で2020年の入場料収入は2019年の30%にとどまるなど、経営的に厳しい昨今ですから、新たな収入源を確保しなければいけない。それはどのクラブも同じだと思います。われわれは愛知県、トヨタグループという強みを生かしながら、売り上げを増やす努力を進めたいですね」
清水専務がこう語るように、マーケティングノウハウの外販という新展開は数年後の名古屋にとって巨大なビジネスになるかもしれない。いずれにしても、両者の連携が日本のスポーツ界に新風をもたらし、観戦者にとって利便性の高い状況になることを期待したい。
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