「議論するカップル」がフランスでは日常のワケ 映画で知るフランスの男と女と家族と文化

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フランスでは小さい頃から、自分の意見を「論理的に」説明することが求められる。そして、あらゆる面から「批判的に」論じることも否定されることはない。

学校では論述方式の試験が主流で、大学に行くためには全員がバカロレアという論述方式の試験にパスしなければ受けることができない。日本の大学入学共通テストのようなものだが、答えが決まっている選択肢問題はほとんどない。

例えば2019年のバカロレアの哲学の問題。

時間から逃げることはありうるのか?
芸術を解釈することは何になるのか?
ヘーゲル「法の哲学」からの抜粋の文章(320語程度)を読んで解説せよ。

この3つの設問から1つを選んで論述する。試験時間は4時間。もちろんノートや資料の持ち込みは不可だ。

「議論好き」になる自ら考えるプロセス

何ページも書けばいいというものでもなく、決まった答えがあるわけでもない。

まず、自分が選んだ設問の議論の論点がどこにあるのかを見極め、問題提起を明確にし、さまざまな疑問や批判を投げかけつつ分析(大体3つ)。それを裏付ける歴史的事実や例を挙げながら展開し、多方面から結論に導く。そのうえで最終的には、その問題を俯瞰して見ることによって別の観点もほのめかし締めくくる。というのが大体の回答の流れだろうか。

実際に私が通っていた大学院でも、問題用紙に「〇〇に対して論述を展開しなさい」という問いが1問だけあり、4枚ほどの真っ白な答案用紙が配られるというパターンがほとんどだった。いきなり頭も真っ白になるがとりあえず落ち着くことから始めなければならない。

こういった教育の賜物として、フランス人のおしゃべり好き(議論好き)ができあがるようだ。

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