Jリーグに「補強苦手なクラブ多い」残念な理由 世界で戦うために必要な「運任せ」からの脱却

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このやり方でうまくやっているクラブも存在する。2015年から2019年の5年間でJ1に在籍したチームは延べ24チームあり、3シーズン以上在籍したチームは18チームだ。実際の順位と1勝するためにかけた人件費額の順位を比較した。

うまく使えていないチームのワースト3は、名古屋、神戸、新潟だった。

一方、効果的に使えているチームトップ5は、川崎、鹿島、広島、札幌、仙台で、編成および新規加入選手の活躍で成果を出している。札幌はJ1昇格後の3シーズンはJ1で、それ以外の4チームはこの期間中を通してJ1に所属している。

そうしたクラブにはある共通点がある。それは、強化部トップを中心とした体制と監督人事に継続性がある点だ。クラブの哲学を体現するために選手と監督を選ぶという姿勢が見て取れる。選ぶ目に継続性があり、受け入れるスタイルに一貫性があればミスマッチは起きづらい。

主観的な目が頻繁に変わるリスク

しかし、主観的な目が頻繁に変わり、受け入れるスタイルも監督次第で変わるのであれば高い確率でミスマッチが起きてしまい、最終的にはシーズンの成績に反映されてしまうことになる。そのときチームにいたスカウトが見た“良い選手”と、そのときの監督の好みが偶然にも合うという幸せなマッチングが起きたとしたら、それは運が良い方向に作用したためだ。い

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『サッカーデータ革命』の著者であるクリス・アンダーセンは、データ分析をしないチームにも成功の道がある」と予測した。

それは、川崎、鹿島、広島のように経験を財産として活用できているクラブか、主観や評判や信頼している仲介人の情報で選手を獲得し、失敗したとしてもそれが許されるほど資金的に余裕があるクラブかのどちらかを示している。

しかし、それ以外の多くのJクラブは良い選手選び、合理的な選手評価を行うために経験を積むか、いち早くテクノロジーとデータの活用を行うか、どちらかを選択する必要がある。

今やコロナ禍において、投資を失敗しても許されるという資金的に余裕のあるクラブはほとんどない。来期以降さらに収入の減少が見込まれる状況では限られた資金で最大の効果を出さなければならない。そのためにデータとテクノロジーは強力な武器になる。

データとテクノロジーを効果的に使っていくために、ビル・ジェイムズが発見し、ビリー・ビーンが実践したセイバーメトリクス(統計学的な見地から客観的に分析し、選手の評価や戦略を考える分析手法)の理解は大いに役立つはずだ。

森本 美行 fangate代表

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もりもと みゆき / Miyuki Morimoto

1961年生まれ。1992年米ボストン大学経営大学院でMBAを取得。2000年米国NASDAQで上場したasiacontent.com日本法人アジアコンテントドットコムジャパンの代表取締役兼CEO。2002年スポーツデータ配信や分析を行うデータスタジアムの代表取締役に就任。2016年には、日本初の野球独立リーグ四国アイランドリーグplusを運営するIBLJの代表取締役および日本独立リーグ野球機構の常務理事を務める。現在は、スポーツビジネスコンサルティングを行うfangateの代表取締役を務めるとともに、教育、研究、指導、ビジネスと多岐にわたり、様々な面からスポーツをサポートしている。

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