日本の企業はブランドの本質を知らなさすぎる 「刀」の森岡毅氏に聞く世界一ブランドの創り方

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――昨年、刀は大和証券グループ本社と資本業務提携、140億円のマイナー出資を受けました。また1000億円規模で別途お金を集め、地方のレジャー施設の再生など持続可能な事業の創出も手がけることを表明しました。

刀を2017年に立ち上げた後の昨年までの3年余りは、自分たちの哲学や将来ビジョンを曲げることなく、首尾一貫したマーケティングノウハウをクライアントに移管し、私たちがいなくなった後でもそれが機能し続け、クライアント自らがマーケティングできるようにする、ということを愚直に続けてきました。

昨年、大和証券グループ本社から入れていただいた140億円は、こうした私たちのスタンスに対する評価だと思っています。この資金を得たことで、私たちは蝶で言えば幼虫の時期から、サナギという「次のステージ」に移ることができました。

戦略パートナーを得たことで、刀の創業時から考えていた①マーケティングのノウハウを売る②エンターテイメントを日本の成長産業に変えていく③「直接投資によって経営に関わることで事業を成長・再生する」という「3つの事業の柱」のうち、③の形が固まってきました。この3つはすべてつながっていますから、私たちが蝶になるときには、3つが「より強固な柱」となっているはずです。

――「直接投資によって経営に関わることで事業を成長・再生する」とはどういうことでしょうか。

実は、顧客側が「私たちのマーケティングコンサルテーションを通じて、首尾一貫したノウハウの移管を受ける」という意思決定をできず、残念ながら事業がうまくいかないケースが多々あります。事業そのものには高い価値があるにもかかわらず、さまざまなしがらみなどで経営の当事者が正しい判断を実行に移せなければ、どれだけ優れたマーケティングノウハウを入れたとしてもダメなのです。

そういう場合は、マーケティングコンサルだけではなく、直接経営にも関わりながら実行に移すことも必要になると、刀を設立したときから考えていました。これについては会社設立から5年以内に実現したいと思っていましたが、実際には2年程度で実現できることになったのです。ここで「蒔いた種」が花開いたとき、刀は第3期を迎えて、いよいよ高く羽ばたくことをイメージしています(後編に続く。後編は3月6日に配信の予定です)。

(編集協力:鈴木雅光)

福井 純 東洋経済 記者

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ふくい じゅん / Jun Fukui

「会社四季報オンライン」編集部長。『週刊東洋経済』編集部、『会社四季報プロ500』『株式ウイークリー』『オール投資』編集長、「東洋経済オンライン」編集部長、証券部長を経て現職。国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe®)、日本テクニカルアナリスト協会理事

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