西武園ゆうえんち「昭和の世界観」で復活なるか USJ再生の森岡氏を招聘、100億円投資の勝算
「いつもは確率を見極めながらお返事するが、雲の上で当代きっての経営者、西武グループがさまざまな困難に直面した時に守り切ったあの後藤さんから期待をかけられ、『何とかするんだ』と思わず握手した」。かつてユニバーサル・スタジオ・ジャパンをマーケティングで再生した森岡毅氏は強い思いを語った。
西武ホールディングス傘下の西武鉄道は1月23日、所有する埼玉県所沢市の西武園ゆうえんちが2021年に控えるリニューアルオープンに向けた発表会見を開いた。オープン時期は2021年度の早期を目指し、アトラクション増設などによる投資規模は約100億円を見込む。
「三丁目の夕日」の世界観で勝負
西武園ゆうえんちは2020年で開業70年を迎える。開業以来、さまざまなアトラクションを整備し、1988年度には年間来園者が194万人とピークを迎えた。だが、バブル崩壊などもあり来園客数は減少。ここ10年の年間来園者数は50万人前後で横ばいが続いていた。そこで白羽の矢が立ったのが森岡氏だった。
森岡氏は世界的消費財メーカーのプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)でブランディングやマーケティングに関する役職を歴任し、2010年にユニバーサル・スタジオ・ジャパンの運営会社に入社。開業した2001年に約1100万人だった年間客数が約800万人へ低迷していたパークを、日本のアニメなどとのコラボ戦略などで同1500万人規模まで復活・成長させた実績を持つ。
その後同社を去り、2017年に独自のマーケティングノウハウを顧客企業に提供し、再生や活性化を請け負う企業「刀」を創業。トリドールホールディングスの「丸亀製麺」における集客増や、1980年代に巨額な年金資金を投じて建設されながら経営破綻した大規模保養施設「グリーンピア三木」の再生など、早くもマーケティングノウハウを用いた成果を残しつつある。
森岡氏が手がける新たな西武園ゆうえんちでは最新の技術を使ったアトラクションの導入も検討しているものの、新たなコンセプトは大ヒット映画『ALWAYS 三丁目の夕日』を彷彿とさせる、1960年ごろの世界観。「70年間も続いているパークで、遊具も最新テクノロジーとは程遠いアンティーク的なものがある。これを逆手に取る」(森岡氏)作戦だ。
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