西武園ゆうえんち「昭和の世界観」で復活なるか USJ再生の森岡氏を招聘、100億円投資の勝算
今回のリニューアルについて、森岡氏は「難易度が非常に高いプロジェクト」と不安を隠さない。「現行のブランドはその(設備の)古さや、古くからあるということが、消費者の中で非常にマイナスに評価されている」(同)からだ。
大手の東京ディズニーランドは2020年4月開業の「美女と野獣」エリアなどに約750億円、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンは2020年夏開業の「任天堂」エリアに約600億円と、スケールの大きな投資を足もとで実施し、消費者に継続的なアプローチをかけている。
対する西武園ゆうえんちが、全体のリニューアルに投じるのは100億円。西武HDの後藤社長は、一度に100億円を超える資金投下も選択肢に持っていたようだが、森岡氏は「そういうものをドーンと作って、消費者の頭の中でブランドが選ばれる確率をバシッと変えることが可能な商圏、事業状況にはないと後藤さんに進言した」という。
ターゲットは高齢層ではなく若者?
限られた初期投資の中で重視するのが、従業員のサービス水準だ。リニューアル後の西武園ゆうえんちでは、1960年代という時代設定に合わせた「おせっかいなほど優しい」(森岡氏)姿勢による、独自色の強い接客を計画している。また、所沢という立地も「いろいろな考え方はあるが、西武鉄道が通っているため伸びしろがある」(同)と前向きにとらえる。
そのメインターゲットは、1960年代の世界観になつかしさを感じる年配の世代ではなく、若者を想定している。プロジェクトにおける調査の結果、「そういう世界に魅力を感じて、最も来場意向を強く示すのは10代後半から20代の若者。なぜかと掘り下げると、1960年代を幸せと感じるように脳内の回路に刷り込まれていた。若い方は非常に斬新に感じながらも、懐かしいという反応をする」(同)。
低迷していたユニバーサル・スタジオ・ジャパン以上に難易度が高いと、再生請負人・森岡氏自らが語る西武園ゆうえんちの復活。自ら投資規模を最小限にした戦略が奏功するかは、低予算かつ斬新なアトラクションの作り込みに加え、人材育成もカギを握りそうだ。
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