その点、キャンピングカーはそこで「寝泊まりする」ことを目的に作られている。横になって身体を伸ばせる広さがある。座席を倒しただけのフルフラットレイアウトと違い、きちんと休めるように「平面」なベッドになっているのだ。
車のボディにも大きな違いがある。見た目にはわからないが、キャンピングカーには断熱処理が施されおり(※1)、たとえ外気が暑くても・寒くても、車内への影響を和らげる効果がある。断熱=防音の効果もあるし、窓にはカーテンなどもあるので、プライバシーも確保できる。体育館や公民館などの広間を仕切って暮らす、平均的な避難所の環境と比べれば、どれだけ快適かご想像いただけるだろう。
※1.すべてのキャンピングカーに必ずしも断熱処理が施されているわけではない。その点も、キャンピングカー選びのポイントのひとつである。
ことにこの「プライバシー」の確保は、非常事態が長期に及べば及ぶほど、重要なポイントになってくる。暑さ・寒さもさることながら、人目を気にせずに安心して過ごせるスペースがあるかどうかは、避難生活のQOLを大きく左右するのだ。
生活用のサブバッテリーも搭載
普通の車でもエンジンをかければ冷暖房や照明を使うことはできる。だが、逆を言えば、エンジンをかけなければそうした器具は使えない。災害時には燃料の確保も難しくなることを考えれば、あまり頼りにはならない。過去には暖をとるために車内で火を使って、一酸化炭素中毒で亡くなったという痛ましいケースもある。
その点、キャンピングカーには走行用とは別に、生活用のサブバッテリーが搭載されている。十分に充電されたサブバッテリーがあれば、エンジンに頼らずともある程度の空調や照明を使うことが可能だ。TVを見たり携帯電話を充電するなど、情報収集にも電気は欠かせない。
また、FFヒーターがついているキャンピングカーもある。FFヒーターは基本、車の燃料を使うことが多いが(※2)、エンジンを回すよりもはるかに少ない燃料で安全に暖房が使えるようにできている。
※2.一部の車両では、FFヒーター用にプロパンガスを燃料としている場合もある。
最近はサブバッテリーに大容量のリチウムイオンバッテリーを採用したり、ポータブル電源を搭載する商品も登場している。こうしたシステムがあれば、数日間は電気をまかなえるし、ソーラー発電パネルを併用すればある程度長期の避難生活にも対応できる。
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