今のアメリカ株はバブルでなく大崩壊もない みずほ証券・大橋英敏氏に金利、インフレを聞く

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

――今回のコロナ危機とアフターコロナの株式市場におけるストーリーをまとめていただけますか。

まず、昨年の3月に株価が下がった理由は何だったかを思い出してください。リーマンショックは金融危機であり、今回は金融危機ではないが、株価の下がり方は似ていた。リーマンショックは金融機関のバランスシートに不良債権が積み上がったという懸念から、皆が金融機関と取引をしたがらなくなり、流動性危機が起きた。

一方、コロナ危機の去年の3月は金融機関に大きな問題はなかったが、皆がキャッシュに殺到した。戦争が始まるときと同じで現金を手元に確保しておきたい。企業も現金の確保に走った。金もビットコインも国債も売られまくって、過度に価格が下落した。流動性の枯渇という点で、リーマンショックと同じことが起きた。

コロナで業績の悪化が予想されたから株価が下がったという人もいますが、そうではないでしょう。どれだけ業績が下がるか、そんな織り込みはその時点では誰もできていなかった。株式市場は将来を見ている。極端にいえば、業績だけならいずれは回復するから下がる理由がない。3割も下がったのは流動性が枯渇したからで、一気に株価が戻ったのは中央銀行が素早く流動性をジャブジャブに供給したから。そして、今後もジャブジャブを続けますよと言っている。

ここからはファンダメンタルズをしっかり見る

2021年に入ってここから先は、本気でファンダメンタルズを見に行かないといけない。今の業績からすると株価は乖離している。でも、2年後のイメージを見に行ったらどうですか? 乖離はしていない。先にお話しした4つの株高の条件が崩れない。今回の長期金利の上昇もそこを見ている。では、1.2%の長期金利がたかだか1.5~1.6%になるのはインフレになるからですか? それも、ノーでしょう。それで財政拡張ができなくなりますか? それもないでしょう。現実に1.9兆ドルを出そうとしている。

では2年後になったらどうでしょうか。景気が十分に回復していたら、もう財政拡張しなくてよいという話になっているかもしれないし、そうではないかもしれない。財政の懸念はそのときの経済のパフォーマンス次第ということになる。

つまり、今の今で大きく株価が下がる理由は考えられない。むしろ、通貨の価値が下がっているから、現金で持っていたら負ける。だから下がったら買いが入る。大きな下げがあっても、暴落は一日で終わるみたいな状況だ。ビットコインを買うこともないけれど、株を買っておけばいいんじゃないか、という結論になる。

次ページ名目金利、インフレ率、実質金利を確認する
関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事