政府はIRの重要な役割、その政策目的をクールジャパン、ビジットジャパン戦略の推進と位置付ける方向です。クールジャパンとは日本の魅力(文化、産業)を世界に発信することにより、広範な産業の国際競争力を再強化する戦略です。ビジットジャパンとは訪日外国人観光客を拡大する戦略です。それぞれ政府の重要な成長戦略であり、二つの戦略は密接に関係しています。実際、IRの合法化を推進する国際観光産業振興議員連盟(IR議連)に所属する国会議員は、細田会長を筆頭に、IRがクールジャパン、ビジットジャパンに貢献することの重要性を繰り返し説明しています。
IRの経済波及効果を論じる場合、通常の商業不動産開発とは異なり、「クールジャパン、ビジットジャパンを推進し、世界における日本への関心が向上した結果、広範な産業の競争力が強化されたことによる経済波及効果」を重視すべきです。この効果は通常の商業不動産開発の経済波及効果をはるかに上回る規模となるはずです。
IRは日本産業界が主導すべき
IRの重要な任務はクールジャパン、ビジットジャパンの推進です。日本のIRは莫大な利益が確実視されます(関東、関西それぞれ1施設の合計の営業利益は年間3000億円レベル)。詳細な経済分析は次回以降で説明しますが、背景は日本の巨大な個人金融資産の存在です。
カジノは日本のとくに富裕層の個人金融資産の一部を吸い上げる事業です。日本にとって個人金融資産の蓄積は最大の経済資源であり、その一部を開発するわけです。また、IRは刑法で禁じられてきたカジノを活用する事業であり、一定の社会コストも生じます(勤労意欲減退、依存症、反社会勢力、青少年保護。むろん、これらに対しては厳格な対策が導入される)。
IRは日本の成長戦略、社会の課題解決に最大限、貢献すべきです。日本社会にコミットメントする日本産業界が責任を持って、IRの構築、運営を主導すべきです。
詳細は次回以降に説明しますが、日本産業界は確実にIR、大型カジノの構築と運営を主導できる力を持っています。一部の関係者の間には「日本産業界はカジノ運営の経験がない。ゆえに、外国カジノ事業者に依存せざるを得ない」という考えがあります。この考えは改めるべきです。「経験がない=出来ない」は日本の失われた20年間の考え方です。これからの日本の考え方は、「経験がない=新しい産業創出の好機。積極的に取り組む」です。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら