日本の大都市圏、すなわち関東、関西で想定されているIRは世界最大級の規模です。IRのカジノ以外の基本コンポーネントについては、2000室以上の規模の高級ホテル、数千席のエンタテインメント専用の劇場、展示面積10万㎡クラスのコンベンションセンターなどが想定されています。
例えば、日本を代表する東京のホテルの御三家(帝国ホテル東京、ホテルオークラ東京、ホテルニューオータニ)の部屋数は800~1500室ですし、都心の外資系高級ホテルは500室以下です。東京国際展示場(東京ビックサイト)は日本最大の展示面積を持ちますが、それでも8万㎡です。また、日本では都心部におけるエンタテインメント専用の大型劇場の必要性が指摘されています。
IRの中のカジノ以外の施設は、それぞれ大きな設備投資を必要とし、サービスの開発や運営が労働集約型であり、中長期の収入を見通しにくい、単独では事業化が難しい分野です。一方、それぞれ集客力が高く、日本の文化や産業の魅力の発信や訪日観光の促進を通じて、経済全体に大きな波及効果を生み出す分野です。まさに、日本が成長戦略として掲げるクールジャパン、ビジットジャパンに貢献する施設群です。それらを一カ所に統合し、収益力が高いカジノを組み合わせることで、これら単独では事業化が難しい施設群を成立させることが可能となるわけです。
クールジャパン、ビジットジャパンへの貢献が最も重要
IRは多面的に経済成長に貢献します。商業不動産の開発、運営事業と位置付ければ、当然のことながら、施設整備投資、雇用増加、訪問客の消費などが生まれます。経団連が発表したIR(一施設。都市近郊、大規模MICEを含む)の経済効果の試算によれば、施設整備投資は5600億円であり、経済波及効果については施設運営に伴うものが年間5800億円、施設整備事業に伴うものが9300億円です。
しかし、IRの経済効果は通常の商業不動産の開発、運営と同様に論じるべきではありません。IRはカジノを活用する事業であり、社会への重い責任が生じます。IRは日本の成長戦略、社会の課題解決に最大限、貢献すべきです。
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