本コラムは第1次安倍内閣時代の2007年8月21日にスタートした。今回で 314回目となるが、6年1カ月で7つの内閣という連続短命政権時代を経て、安倍首相が再登場した。
国民はリーダーの人材難と同時に、政党の劣化という実態を目のあたりにした。冷戦終結後、政治体制や外交の基本路線、財政の将来像といった大きな政治選択で政党間に決定的な違いがなくなったという時代変化も影響している。2度目の安倍首相にはその自覚があり、現代は政策の構想力や決定力、実現力で競う時代と認識しているのかもしれない。
大統領型リーダーの功罪
政党の弱体化は「自民党をぶっ壊す」と叫んだ小泉首相の時代から顕著だったが、6年余りの混迷政治の後に浮かび上がってきたのは、「大統領型リーダー」志向である。独走型の安倍首相の側だけでなく、「無力政党」に失望感が強い国民の側にもその傾向がある。
だが、議院内閣制ではあくまで首相は「次の政権選択選挙までの期限付き政権担当者」だ。政党は次期総選挙までに政策・路線を提示し、パワフルなリーダーを擁し、戦線と布陣を整えて、国民の選択に応えなければならない。
過去には「大統領型リーダー」による「大いなる前進」の事例もあるが、暴走による「大いなる失敗」という歴史も多い。与党内の「振り子の原理」も錆ついた感がある今、「総与党体制による政党政治の死」に深い懸念を抱いている。今後、そうした混迷期に必要な、真のリーダー論について模索する連載をできれば、と考えている。
ひとまず、ここで筆を置くこととしたい。長い間、ご愛読いただきありがとうございました。
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