スペインのバルセロナでは、2019年3月に採取した下水のサンプル、ブラジルのフロリアノポリスでも11月採取の下水サンプル、イタリアでは12月にミラノとトリノの下水から、それぞれ新型コロナウイルスやウイルスの痕跡が検出されました。
新型コロナウイルスの痕跡は、武漢の感染爆発の公式発表よりも数カ月前までたどれるのです。初期症状がインフルエンザとまぎらわしいので、そうした感染者や死者にまぎれていた可能性もあります。
さらに中国の奥地では、5年前に健康診断のため住民から採取した血液にコロナ感染の証拠がありました。今回の流行の数年前には、すでに中国奥地で広まっていたことを物語っています。
強毒性の「コロナ3兄弟」
コロナウイルスの仲間はかぜを引き起こすこともあり、ありふれたウイルスでしたが、恐ろしさを知らしめたのは、強毒性の「コロナ3兄弟」の相次ぐ流行でした。
まず、2002年11月に「長男」の重症急性呼吸器症候群(SARS)が爆発的に感染を広げます。5大陸の33カ国・地域で8439人の感染者と812人の死者を出し、2003年7月に収束しました。
10年後の2012年9月、今度はサウジアラビアなどの中東地域に居住、または渡航歴のある人の間で、「次男」の中東呼吸器症候群(MERS)による集団感染が報告されました。ヒトコブラクダから人に感染し、これまでに中東諸国を含む27カ国で2494人の感染者が報告され、そのうち858人が死亡しました。この2つのウイルスは、日本では感染者は出ませんでした。
そして「3男」が今回の新型コロナウイルスです。ほぼ10年の間隔で、3回の強毒コロナウイルスの大流行が起きました。10年というのは、ウイルスがヒトに感染できるように変異するのに要する時間かもしれず、近い将来に「新々型コロナウイルス」が出現する可能性も否定できません。
この3種は、いずれもコウモリがもともとの自然宿主です。ハクビシン、ヒトコブラクダ、センザンコウ、ジャコウネコなどが中間宿主になって人に感染を広げたと考えられます。これだけコロナが流行している最大の原因は都市の急拡大による過密化です。
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