AIが示す「コロナ後日本」の未来は「分散型」社会 「昭和的価値観」や行動様式の終焉と「世代交代」

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この場合、シナリオの分岐を時系列的に見ると、

(1)ポストコロナの日本社会は、「一極集中が加速し人口減少が進むグループ(集中加速・人口減少シナリオ)」と「地方分散が進み人口減少が改善するグループ(集中緩和・人口改善シナリオ)」にまず分岐し、

(2)さらに後者のグループは「地方分散が徹底していくグループ(地方分散徹底シナリオ)」と「東京と地方がともに共存するグループ(都市・地方共存型シナリオ)」に分かれるが、

(3)おのおののグループにおける指標の動きをもとに、それらのパフォーマンスを総合的に評価すると、「都市・地方共存型シナリオ」が相対的に最も望ましいと考えられること

がまず示されたのである。

(出所:筆者及び日立コンサルティングの共同研究より)
(出所:筆者及び日立コンサルティングの共同研究より)

併せて、以上のようにシナリオグループが分岐するタイミングごとに、その分岐要因(所定の分岐方向に進むために大きな影響を及ぼす指標)を分析した。そして以上の結果を基に、ポストコロナ社会の望ましい未来シナリオグループへ到達するためには、いつ・どのような政策に取り組むことが重要になるのかを分析し、政策提言としてとりまとめた。

ポストコロナの日本社会への政策提言

その概要は、以下のようなものである。

①2024年までに、「集中緩和・人口改善シナリオ」へ向かうための政策を実行すべきである(第1の分岐)

2024年頃に、「集中加速・人口減少シナリオ」と「集中緩和・人口改善シナリオ」との分岐が発生し、以降は両者が再び交わることはない。持続可能性の観点から望ましいと考えられる後者への分岐を実現するための要因を分析すると、共働き世帯の増加やサテライトオフィスの充実、女性の給与改善等が重要であることが示され、したがってこれらを通じて女性の活躍や「多様な働き方」を推し進める政策が有効である。

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