毎日イライラする人に欠けた「脳内物質」の正体 キレて怒鳴り散らす前に知っておきたいこと

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セロトニン神経は、脳全体にさまざまな情報を送って、心と体をコントロールしています。その手段となるのが、セロトニンという神経伝達物質というわけです。セロトニン神経が活発であればセロトニンの分泌が多くなり、弱くなれば分泌が少なくなります。そして、分泌が多ければ、それだけ情報も脳全体に伝わりやすくなります。

とはいえ、1つひとつの神経細胞は、ごく小さいものです。これで、どうやって広い脳全体に情報を伝えることができるのでしょうか。

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その役割を負っているのが、神経細胞から突き出している軸索という器官です。これがケーブルのような役割をはたして次の神経細胞と接続して、次々に情報を遠く離れたところに送り届けているわけです。

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ただし、神経細胞と神経細胞の間には隙間が空いています。そこで、その隙間を越えて情報をバトンタッチするために、神経伝達物質を使っています。詳しくいうと、軸索の末端にインパルスと呼ばれる電気信号の衝撃が到達すると、そこから神経伝達物質が放出されて、さらに次の神経に情報が送られるというしくみになっているのです。

セロトニン神経でいうと、神経細胞のインパルスの衝撃が末端に達することでセロトニンが放出されて、相手の神経細胞の表面にあるセロトニン受容体がそれを受け取るわけです。

セロトニン以外にも、このような神経伝達物質は100種類以上存在しています。そして、神経伝達物質の種類や成分によって、心や体に興奮が引き起こされたり、抑制が利いたりというように、作用が変わってくるわけです。セロトニン神経が活発に働くのは、目が覚めている時間帯です。つまり、朝起きてから夜寝るまで、セロトニン神経は休むことなくインパルスを出し続けていることになります。一方、睡眠中はセロトニン神経の活動が弱くなり、セロトニンはほとんど分泌されなくなります。

有田 秀穂 医師・脳生理学者

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ありた ひでほ / Hideho Arita

医師・脳生理学者。東邦大学医学部名誉教授。セロトニンDojo代表。1948年東京生まれ。東京大学医学部卒業後、東海大学病院で臨床、筑波大学基礎医学系で脳神経系の基礎研究に従事、その間、米国ニューヨーク州立大学に留学。東邦大学医学部統合生理学で坐禅とセロトニン神経・前頭前野について研究、2013年に退職、名誉教授となる。各界から注目を集める「セロトニン研究」の第一人者。メンタルヘルスケアをマネジメントするセロトニンDojoの代表も務める。

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