「スーパー金融相場」は今年前半にピーク迎える <株価3万円の先を読む>専門家の見方

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――今年後半はどう見ていますか。

年後半についてはかなり慎重な見方をしている。年末の日経平均は2万5000~2万6000円を想定している。NYダウで言えば2万5000ドル近辺まで調整する可能性がある。

理由はいくつかある。第1に、米中の対立が再び強まることが避けられない。ハイテク覇権をめぐる対立をはじめ、人権問題での対立が中心となる。今はバイデン政権も発足したばかりで、コロナ対応と景気対策で手いっぱいの状態。ただ、おそらく夏までには政権の態勢も整い、コロナ対応も一巡して、中国とどう向き合うかに軸足を移しやすくなる。

この2人が米中関係をどう変えていくかが焦点に(写真は当時副大統領だったバイデン氏の2012年訪中時。Bloomberg)

中国側も7月1日に共産党100周年を迎え、それまではバイデン政権もあまり過激な言動はとらないだろう。2月10日にバイデン氏と習近平国家主席が電話で2時間(菅総理とバイデン氏は約30分間)会談したとされ、両氏はウマが合うとも言われる。

だが、国と国との対立、競争関係には変わりはなく、年後半の株式市場のネガティブ要因となる。アメリカによる2022年冬季北京五輪ボイコットも取引材料として浮上する可能性もあるだろう。

FRBの金融緩和縮小を意識へ

第2には、景気の回復力鈍化がある。今年の夏から秋には景気のⅤ字回復が一巡する。日本企業の業績回復を見ても、今年度下期(2020年度後半)か来年度上期がピークとなる。GDP成長率も来年度下期にはピークアウトする。これは株式市場には決してよい話ではない。

第3には、アメリカの金融緩和縮小懸念の高まりがある。今夏に向けて追加経済対策の効果も加わって景気回復が続き、物価が2%を超えて金利も上昇していけば、マーケットはFRBによるテーパリング(量的緩和の規模縮小)を意識せざるをえなくなるだろう。

いずれにしても、今の株価水準が行きすぎというのが何より大きい。そのため、どこかで水準調整が強いられることになるだろう。もっとも、新たなパンデミックや米中対立のかつてない深刻化などがない限り、株価が再び大暴落することにはならないだろう。2~3割近く水準調整した後、再び徐々に上昇に転じる可能性が高い。

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