「スーパー金融相場」は今年前半にピーク迎える <株価3万円の先を読む>専門家の見方
――当面どのようなリスク要因がありますか。
例えば、バイデン政権の追加経済対策が3月中にまとまりそうだが、問題はその規模だ。1.9兆ドル(約200兆円)の満額で決まるか1~2割の減額で決まれば、市場はほぼ織り込み済み。だが、もし半分近くまで減額することになれば、「ちょっと話が違う」ということになるだろう。
満額近くで決着しても、その直後には予算教書が出される。その内容次第で国債増発懸念が高まり、債券市場で金利が急騰する可能性がある。
また、もし増税で対応するという内容になれば、これも株式市場が荒れる要因になる。富裕層の増税だけならまだしも、大企業への増税が来年か再来年という市場の予想よりかなり前倒しで実施されるような状況になれば影響は大きい。可能性は低いが忘れてはいけないリスク要因だろう。株式投資などのキャピタルゲイン増税案も俎上に上がる可能性がある。
「2年物」の金利に注目すべき理由
それから、今最も注目されているのがアメリカの金利動向だ。10年物国債利回りは1.38%(2月22日時点)まで上昇したが、今のところハイテク株が多少売りに押された程度で大きな影響はない。景気回復に伴ってジリジリ上昇していることから「よい金利上昇」との受け止めが多い。だがもし何らかの要因で金利が急騰すれば、株式の売りが膨らむだろう。
私が注目しているのは、むしろ2年物の国債利回りのほうだ。現状、0.11%程度でほとんど動いておらず、長短スプレッドが開いている状況にある。この2年金利が上昇してくると、株売りにつながりやすいと考える。
ここ最近の株価は目先の景気回復を織り込む動きといえる。10年間という長いタームでの金利と株価の比較はあまり重要ではない。むしろ、目先2年間の比較をしたときに金利と株のどちらが魅力的か、が重要になる。10年金利がジワジワ上昇しても、2年金利が抑えられていれば株価はたぶん大丈夫だろう。逆に2年金利が0.5%ぐらいまで上昇してくれば、株式市場も穏やかではいられなくなる。株価が2年以上先の業績まで織り込み済みというのと裏返しの問題といえる。
――2年金利が上昇する可能性は。
FRBが金融緩和を縮小するとの見方が強まれば、おのずと上昇圧力は高まる。今のところパウエル議長もイエレン財務長官(前FRB議長)も火消しの発言をしており、上昇はまだ先だろう。労働市場ではコロナ禍前に比べてまだ1000万人近くの労働者が失われた状態にあり、失業率も今年1月が6.3%と改善はしているがコロナ前(3.5%程度)と比べるとまだ大幅に高い。大規模緩和を続ける根拠には事欠かない。
しかし今後、物価や賃金の強い状態が3カ月以上続くと、(金融緩和縮小の)前倒しもありうるとの見方で市場がざわつくことが予想される。パウエル議長らのコメントよりも市場が自己判断で暴走し始めるほうが怖い。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら