トヨタ「ヤリス」発売1年、絶対王者の通信簿 激戦のコンパクトクラスで価値を創出できるか

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その後継となるヴィッツは、同じ大衆車であっても、欧州車のように高い走行性能を基本とするコンパクトカーとして生まれ変わった。たちまち人気車種となる。競合の日産「マーチ」が可愛らしさを特徴とし、ホンダ「ロゴ」は機能的ではあったが1世代で姿を消し、「フィット」へあとを譲ることになる。小さくて扱いやすいが貧相ではなく、優れた性能や機能が詰まった様子は、ヴィッツに乗ることを賢く見せた。競合他車に比べ、別格の存在感を持っていたのだ。

しかし2代目以降は、世のつねで車体が徐々に大きくなり、ホンダからは革新的なフィットも登場し、次第に色褪せていく。トヨタ車のなかでもハイブリッド専用車の「アクア」が2011年に誕生し、ヴィッツの存在感はさらに薄れていった。欧州などでは、アクアではなくヴィッツ(すなわちヤリス)にハイブリッド車(HV)を加えて販売したが、国内はアクアに一任したといえる。2017年にヴィッツもHVを加えたが、HVが欲しい消費者の目はアクアに向いており、いまさらヴィッツHVを選ぶ意味は乏しかった。

写真左上から初代ヴィッツ(1999年)、2代目ヴィッツ(2005年)、3代目ヴィッツ(2010年)となる(写真:トヨタ自動車)

世界ラリー選手権で存在感を示した新生ヤリス

新車販売の流れとは別に、トヨタは2017年から世界ラリー選手権(WRC)へ復帰を果たした。その車種として選ばれたのがヤリス(国内ではヴィッツ)だ。参戦チームの代表に豊田章男社長が就くなど、本腰を入れた挑戦となった。そして、復帰初年度となる2017年の第2戦で早くも優勝を果たす。翌2018年にはチャンピオンとなり、2019年はメーカーとしてのタイトルは逃したが、ドライバーとナビゲーターはチャンピオンとなった。競技の世界での破竹の勢いもあり、ヴィッツのモデルチェンジを迎えた昨年、国内で愛用されてきたヴィッツの車名を外し、海外同様のヤリスへ車名を統一したのである。

単にラリーでの活躍による知名度を活用するだけでなく、ヤリスは、コンパクトカー向けのTNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)第1弾であり、操縦性はそれまでと異次元の性能を体感させた。

TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamとして、世界ラリー選手権(WRC)にチャレンジしているヤリス。
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