香港では、2020年11月から拡大した新型コロナウイルス流行の「第4波」が徐々に収束に向かいつつある。だが、大きく落ち込んだ雇用情勢に好転の兆しは見られない。
2月18日に香港政府の統計局が発表した最新データによれば、調査対象期間(2020年11月~2021年1月)の失業率は7%に上昇し、2004年以降の17年間で最悪を記録。失業者の総数は25万3300人に達した。
新型コロナの影響で経済・社会活動の制限が続くなか、香港では2020年の初めから失業が右肩上がりに増え続けてきた。「2020年末にかけて広がった市中感染の第4波により、労働市場はさらなる圧力にさらされている」。香港政府の厚生労働長官を務める羅致光氏は、直近の状況についてそう説明した。
統計局によれば、最新データの調査対象期間における香港の就業人口は363万600人。前回の調査対象期間(2020年10月~12月)に比べて約1万7100人減少し、失業者数は約7500人増加した。また、不完全就業者数も約1万4400人増えて14万8200人となった。
感染拡大は収まりつつあるが…
業界別に見ても、主要産業のほとんどで失業率および不完全就業率が上昇。教育サービス業や芸術・娯楽サービス業で雇用状況の悪化が目立った。
観光業や消費関連サービス業も厳しい状況が続く。最新データによれば、小売り・宿泊・飲食などを含む「消費および観光関連業界」の失業率は11.3%と、前回の調査対象期間より0.7ポイント上昇した。
なかでも飲食サービス業は失業率が14.7%、不完全就業率が10%を記録。従事者のほぼ4人に1人が、職を失うか雇用が不安定な苦況に直面していることになる。
「新型コロナの第4波は収まりつつあるものの、経済活動の正常化には時間がかかる。労働市場は短期的には悪化が続くだろう」。前出の羅氏は、そんな厳しい見通しを示した。
(財新 駐香港記者:周文敏)
※原文の配信は2月19日
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