絶好調ニトリが実現!「厚利多売」の経営モデル 好業績2社決算の肝は売上原価率と在庫回転率
こういった状況を受けて、同社は直営店を新たに21店舗開設し(5店舗を閉鎖)、2020年12月末時点で合計520店舗まで拡大しました。
しかし、コロナ禍の悪影響をまったく受けなかったわけではありません。新型コロナウイルス感染対策として、およそ9割の店舗が1〜2時間の営業時間の短縮を実施していたのです。販売費および一般管理費の内訳を見ると、一時期は自粛のために折り込みチラシを中止し、広告宣伝費が前年同期比で36.6%減少しています。
このようなマイナス要因があるにもかかわらず、売り上げも利益も格段に伸びていることに驚きを隠せません。
売上原価率と在庫の回転率が改善した
ここで注目したい点が2つあります。
まずは売上原価率です。2019年4〜12月期の売上高は5474億8600万円、売上原価は3966億800万円ですから、売上原価率は72.4%。2020年4〜12月期の売上高は6065億3700万円、売上原価は4311億8000万円、売上原価率は71.1%。つまり、売上原価率は前の期より1.3%抑えられているのです。たった1.3%の差とはいえ、売上高が6000億円を超えていますから、1%は約60億円に相当し、その分は利益の改善につながります。
原価率が抑えられ、売上総利益率が上がった理由は、先にも少し触れましたが、コロナ禍において利用客が他店を回って比較する行動が減り、なおかつチラシ広告を自粛したことで価格競争が抑えられたことがあります。また、販売額が増えたことにともない仕入れ額が増え、仕入れが有利になったということもあるかもしれません。
もう1つのポイントは在庫の回転率です。在庫は貸借対照表の資産の部にある「商品」の項からわかります。2020年12月31日時点の在庫は1466億6600万円。1カ月当たりの売上原価は479億800万円ですから、3.06カ月分の在庫を持っていると計算できます。
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