絶好調ニトリが実現!「厚利多売」の経営モデル 好業績2社決算の肝は売上原価率と在庫回転率

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同様に2019年4〜12月期の在庫の回転率を計算しますと、3.25カ月分になりますから、2020年4〜12月期は前の期より約0.2カ月分改善されています。売り上げが大きく伸びたからと考えられます。

このように売上高の増加だけでなく、売上原価が抑えられたことに加え、在庫の回転率が改善されたことが、営業利益が74.3%増という大幅な伸びにつながったというわけです。もちろんケーズデンキの営業努力があってこそですが、コロナ禍における生活様式の変化が追い風になった部分も大いにあると言えます。

“薄利多売”ではなく“厚利多売”のニトリ

家具大手のニトリもケーズデンキとほぼ同じく好調です。2020年2月21日〜11月20日期の売上高は、前年同期より12.2%増の5401億4600万円。営業利益は40.3%増の1185億4400万円という驚異的な伸びを見せています。営業利益率は21.9%で、前の期の17.5%から大きく上昇しています(ニトリは第3四半期が2月21日〜11月20日というように20日締めになっています)。

ケーズデンキと同様、リモートワークの普及や外出自粛によって、自宅の環境をより快適にしたいというニーズが高まったことが大きな理由だと考えられます。ECサイトの売り上げも好調でした。販売費および一般管理費が前年同期より6.1%増えており、中でも業務委託費が15%増加しています。ECサイトの売り上げが伸びて通販発送件数が大きく増加したため、発送業務に関連する業務委託費が増えたのです。

コロナ禍ではありますが、好業績を背景にニトリも積極的に店舗展開を進めています。国内では22店舗増やし、合計で563店舗となりました。さらには2021年1月、ホームセンター大手の株式会社島忠を完全子会社化したことも話題になりました。これは今回取りあげている決算にはまだ影響していませんが、前向きな取り組みが今後の業績にどのように影響していくかに注目しています。

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