絶好調ニトリが実現!「厚利多売」の経営モデル 好業績2社決算の肝は売上原価率と在庫回転率

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ケーズデンキとニトリ、コロナ禍での2社の取り組み(写真:makaron*/PIXTA)
新型コロナウイルスの感染拡大によって経営が悪化した企業が多くある一方で、在宅勤務や外出自粛といった生活様式の変化が追い風となり業績を伸ばした企業もあります。中でも家具大手のニトリホールディングス(ニトリ)と大手家電量販店のケーズホールディングス(ケーズデンキ)は大幅な増収増益となりました。
ベストセラー『「1秒!」で財務諸表を読む方法[実践編]』の著者である経営コンサルタントの小宮一慶氏が、2社の決算内容から好業績の理由と先行きを分析します。

営業利益を大きく伸ばしたケーズデンキ

ケーズデンキの2020年4〜12月期決算から見ていきます。売上高は前年同期より10.8%増の6065億3700万円。営業利益は74.3%増の455億2600万円。売上高営業利益率は、前年同期の4.8%から7.5%まで2.7ポイントも上昇しています。

『「1秒!」で財務諸表を読む方法[実践編]』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします。

このコロナ禍で売り上げを落とす企業が多い中、ケーズデンキは逆に売上高も営業利益率も大きく伸ばしているということです。

何が売れているのでしょうか。とくに伸びているのは、テレビが前年同期比20.8%増、パソコンが20.1%増、パソコン周辺機器が12.9%増、洗濯機が12.7%増、クリーナーが23.8%増、調理家電が13.6%増。巣ごもりやリモートワークの普及による需要があったといえるでしょう。

ケーズデンキの決算説明資料によると、好業績の理由はほかにもいくつかの追い風が重なったと分析されています。1つは、新型コロナウイルスの感染拡大によって、昼間人口が首都圏や大都市から郊外へシフトし、郊外立地店舗の売り上げが伸びたという点。2つ目は特別定額給付金の支給によって家電全般に需要が増えたこと。3つ目は夏の猛暑、冬の気温低下によってエアコンなどの商品が売れたことです。

さらに4つ目として、外出自粛の意識が高まったことで、他店を回って比較検討してから商品を購入するという消費行動が減り、価格競争が弱まったことも利益率が押し上げられた一因となったようです。

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