絶好調ニトリが実現!「厚利多売」の経営モデル 好業績2社決算の肝は売上原価率と在庫回転率
ニトリで着目したいのは売上原価です。2020年2月21日〜11月20日期の売上原価率を計算しますと42.9%。これは驚異的な数字です。多くの人は、ニトリのような事業は、規模の事業で“薄利多売”だと感じているかもしれませんが、実は“厚利多売”なのです。
さらに前年同期の売上原価は45.2%でしたから、この期は2.3ポイント抑えています。もちろん売り上げが伸びたことが大きく影響していますが、商品の原価低減に取り組み、原材料を統一したり、海外サプライヤーと協力して生産工程を改善したりといった企業努力も実を結んでいます。
家具販売店としては驚異的な在庫の回転率
もう1つ注目したいのは、在庫の回転率です。ここでは貸借対照表の資産の部にある商品および製品、仕掛品、原材料および貯蔵品の3項目を足し合わせたものが在庫ですが、2020年11月20日には557億2000万円になります。この期の売上原価は9月間で2314億8100万円、1カ月当たり257億2000万円ですから、在庫は2.16カ月分保有しているということです。
この数字は、家具販売店としては驚くべき水準です。一般的にこの業界では約6カ月分の在庫を持っていますから、ニトリはかなり早いペースで回転させていることがわかります。つまり、原価率の低い高収益商品を高速回転で売ることで、大きく利益を稼ぐというビジネスモデルなのです。さらに前年同期の在庫の回転率は2.41カ月ですから、この期は0.25ポイント改善されています。この点も利益の改善につながっていると言えるでしょう。
注意点としては、コロナ後にニトリとケーズデンキの業績がどのように推移するかということです。2社の現在の好業績は、もちろん企業努力の賜物ではあるものの、コロナによる影響も小さくないと言わざるをえません。その点を考えますと、コロナの感染状況が落ち着く頃には業績の伸びに注目も必要です。
2社ともこの期に店舗数を増やしていますが、財務的に問題ありません。当然、コロナ後の状況も想定に入れているでしょうし、収益を上げた分は両社とも有利子負債の返済に充てており、投資余力があるからです。好業績を受けて、店舗投資の回収も早いと考えたうえでの戦略である可能性もあります。
ようやく日本国内でもワクチン接種が始まり、第3波の収束も見えつつある中で、コロナの状況も確実に変わっていくでしょう。そういった流れの先、2社の業績がどのように動き、どのような戦略を取っていくのかに注目したいところです。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら