食えない女性アナ「決意の起業」その意外な中身 年齢と需要が反比例する残酷な世界に風穴
「ピラミッドなんですよ。頂上にはキー局の有名アナ、その下には地方局アナや知名度のあるフリーアナ、契約アナウンサーがいます。さらにもっと下にいたのが私です。このピラミッドを這い上るのは無理だと気づきました。すぐ上や隣を見ると、美人でスタイルも良くて、英国の大学を卒業しているから、日英2カ国語で仕事ができる人が当たり前にいる。そんな人もろくに仕事がない。私は日本語だって怪しいんですよ(笑)」
髙橋さんは、ピラミッドをのぼることをやめた。そのかわり、「アナウンサーによる映像制作会社」という新しいピラミッドを作ることを決めた。
「この業界全体の現状を社会的な問題としてとらえ、同じ境遇にいるアナウンサーを、救い、助けられる仕組みを作ろうと思いました」
2015年7月、設立されたのが「カタルチア」だ。語る人(=アナ)や企業を応援(=チア)したいという意味を込めた。
地方局アナの仕事は原稿を読むだけではない
実はテレビに出ているアナウンサーは日々、原稿を読んでいるだけではない。特に地方局などでは記者業務、映像制作業務も手がけている。
「地方局アナは自分で取材して、撮影した映像にテロップをつけて、ナレーションを入れる。その上、その日の夕方にはテレビに出るんです。映像を作る会社であれば、そんなアナの延長線上にあるスキルを使って、お金を稼げるんです」
同社には、アナウンサーを中心に、モデルやタレントなど約200人が登録している。
「アナウンサーとしての仕事でなければ、事務所にマージンを抜かれることもありません。制作の業務の稼ぎはそのまま彼女たちに支払えます。事務所に所属していても問題ありません。女性だけでなく、男性もいますし、カメラマン、デザイナーもいます。様々なスキルを持った人たちが、そのスキルを生かして、経済的に安定することを目指しています」