債券投資家にとって将来のリターンの価値を目減りさせるインフレはほぼ完全に悪いニュースだが、株式トレーダーにとっては必ずしもそうではない。価格上昇によって利益が高まる企業もあるからだ。
物価上昇圧力が高まれば株式市場にも多くの犠牲は出るだろうが、機会がないわけではないことが、過去のデータから分かる。エネルギー株は過去50年にわたり一貫して高インフレ時の勝ち組だったと、ネッド・デービス・リサーチの調査が示した。
ゴールドマン・サックス・グループは売り上げ増が利益につながる態勢が整っている企業を勧める。自動車メーカーのフォード・モーターやメディア会社のディスカバリーなどだ。ソシエテ・ジェネラルは、需給バランスから見て鉱業株と肥料メーカーがインフレ圧力の高まりにはよいヘッジになるとの見方を示す。
パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が現時点で物価圧力について楽観的であっても、ある時点でインフレは株式にとって問題になる。ここ数週間だけでも世界的な半導体不足や米生産者物価の急上昇など、懸念すべき兆候はある。
景気見通しが明るくなり、新型コロナウイルスの新規感染者数が減り、追加経済対策が近づく中で、インフレに対する懸念が強まっている。
シティグループの米株担当チーフストラテジスト、トビアス・レフコビッチ氏はリポートで、価格決定力に言及し、「先行指標はインフレへの不安が生じつつあることを示唆している。価格面で柔軟性のある企業が勝ち組になるはずだ」と論じた。
ネッド・デービスによれば、消費者物価の上昇期に最高の実績を上げているのはエネルギー株だ。1972年以降の高インフレ期9回中7回で、エネルギー株はS&P500種株価指数を中央値で14ポイント上回った。
投資スタイル別では、売上高が景気動向に敏感で、通常は比較的安いバリュエーションで取引されている循環的バリュー株が、高インフレ時に良好に推移する傾向があるとネッド・デービスが分析した。
市場全体に対するインフレの影響は単純ではないが、よくよく見れば投資家は高い営業レバレッジ、つまり売り上げの伸びによって利益を大きく増やせる企業を選好することでインフレに備えていることが分かる。
物価が上昇すると、売上高と投入コストの両方が上昇する傾向があるが、レバレッジが強い企業は売上高増加の影響が生産コスト上昇の影響を上回るため有利だ。
ゴールドマンとブルームバーグがまとめたデータによると、営業レバレッジの高い企業のバスケットは2月初め以降、低いグループのパフォーマンスを1.7ポイント上回った。
原題:Inflation Angst Is About to Rewrite the Stock Market Playbook(抜粋)
著者:Lu Wang (News)
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